『ふしぎな総合商社』

2018年01月5日

小林敬幸著/講談社α新書

2017年9月発行、定価=840円+税

総合商社=三井物産に30年勤めた経験がありながら「売上ゼロの営業部がたくさんある」「仕事で成功したのは10のうち2~3」などという著者の言葉を聞くと、思わずのけぞってしまう。三井物産は就活学生にとっては相変わらず憧れの企業であるし、給料の水準は全業種の中でもトップクラスだからだ。しかし本書を読むと、その理由がよくわかる。

 

著者は「商社は両生類だ」と言う。融通無碍に変化して生き延びる特質をもっているからだ。バブル崩壊後、“全社員”が危機意識を持って多様なビジネスに邁進した例など、現在でも十分通用する話も多い。学生たちが「商社はわかりにくい」と言い、企業も「商社を説明するのは難しい」と嘆くのは、そんな商社の特質による。著者は実体験を交えて商社の内容、生き延びるための未来像をキチンと示してくれている。そんな中感じるのは、社員一人ひとりの質の高さである。商社の採用人数は、他業種に比べて決して多くないが、だからこそ厳選して採用している姿勢がわかる。

「何か本当にやりたい決まったことがあるのなら、専門の会社に行った方がいい」「多様性と変化を楽しみたいのなら商社で通用する」と学生へのメッセージも添えられている。商社志望の学生には是非薦めたい本である。

【目次】
第1章 「ヘンな会社」としての総合商社
第2章 サラリーマンとしての商社マン
第3章 課題先進企業としての総合商社
第4章 ビジネスとしての総合商社
第5章 仕事としての総合商社
第6章 商人としての総合商社
第7章 総合商社の未来(・なぜ商社は、変革できたのか? ・商社が衰退する兆候とは ・商社の寿命 ・成熟社会に向けて)

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