新卒一括採用 変える時期
日本経済新聞(5月21日付朝刊)にベストセラー『女性の品格』の著者で昭和女子大学理事長兼総長である坂東眞理子氏が、「私見卓見」のコーナーで新卒一括採用の弊害と改正案を提案している。
昭和女子大は内定率95.5%で、全国の女子大でトップを走っているが、この就職率の高さの陰で、多くの学生が学部3年次での留学をあきらめている現実を語っている。3年次の夏休み以降、インターンシップなどが行われるからだ。
坂東氏は「企業の経営者がグローバルで活躍する人材が欲しいと言いながら、学業や留学の機会を奪っているのは企業側ではないか」と喝破している。一括採用などの「効率採用」の結果が就職しても3年で3割が辞めるという現実である。
その現実を踏まえて坂東氏は「採用の多様性と柔軟性」を求めている。年齢制限の撤廃、経験者の別枠採用、外国の大学で学んだものの通年採用などである。経団連に対しては、本質的・建設的な議論を先送りしている、このままでは日本企業の体力も国際競争力も衰えると手厳しい。しかし手塩にかけた教え子たちに、納得のいく就職活動、進路先を見つけてほしいという、教育機関としては当然の想いであろう。