商社の仕事人(14)その4

2017年04月13日

ダイワボウ情報システム 重本和希

 

あらゆる業種業態と関わりながら

ITの可能性を追求する

 

 

新たに見えてきた〝目指すべき自分の姿〟

3年前から重本は、首都圏に重点をおくシステムインテグレーター(SI)・キャリア・事務機器販売会社を始めとした、様々な業種の企業をお客様とする東東京営業部に配属された。担当するのは、顧客の業務内容を分析し、問題に合わせた情報システムの企画、構築、運用などの業務を一括して請け負うSIだ。

「マルチベンダーのディストリビューターとして、最適な商品を確実に提供して仕組みづくりのお手伝いをするのが私の役割です。SIに対して営業活動を行い、サーバー統合、仮想化、シンクライアント、WAN/LAN、ストレージ、SaaS、クラウド構築等、IT基盤に関わるほとんどすべてのキーワードに対応しながら、タイミング良く最適なパソコンやサーバーなどを選んで組み合わせて販売しています。億単位の取引も珍しくはなくなりました。もちろん、営業マンとして数字を挙げることは大切でやりがいも感じています。ただ、やはり私は多くの人と関わりながらビジネスを作り上げていく過程が一番楽しいですね。各民間企業はもちろんですが、自治体や学校、医療、交通、通信など、社会生活を支える幅広い現場のIT基盤を作っています。これだけ多種多様な業態の中に入り込み、そこで働く人々とITを通して深い話ができるようになるのは、この仕事の醍醐味と言えますね」

今、入社前に目指していた幅広い人脈作りが、確実に実現できていると重本は語る。一方で、やってみたいことも生まれてきたという。

「販売店にメーカーさんと伺うこともあるのですが、メーカーさんはさすがに製品に対する専門知識が深く、マニアックと言えるような話もできるのが、ちょっとうらやましく感じています。商流に関わってビジネスをしていくのが商社のポジションですが、浅く・広くではなく、ITに関してもっと深く学ぶことでマニアックな提案もできるのではないか、それが自分の新たな武器になるのではないかと感じ始めているところで、まだまだ勉強の日々ですね。入社して年月を経るほどに、自分の限界を感じることが増えていますが、それでいいと思う。根拠のない自信を持っていた昔よりも、現実を知ることで、より物事に対して真摯な態度で臨めるようになります。ひいてはこれが、お客様との深い信頼関係の構築にもつながっています」

より謙虚な気持ちでビジネスと向き合うことができるようになったのは、どこまでも自分を高めることを追求する重本だからこそ。たくさんの人々を巻き込みながら、人間力を高め、新たな商流を生み出し続けるに違いない。

 

学生へのメッセージ

「就活の際には、10年後、20年後のなりたい自分を、プライベートとビジネスの分野で徹底的に自己分析しました。30歳では車を買い、仕事では何人の部下を持ち、何年後までには独立して会社を興したい、などですね。実はダイワボウの面接のときに、これを話したんです。つまり、『私は何年後に会社を興したいので御社に骨を埋めるつもりはありません』と。生意気な若造をよくぞ採用してくれたと頭が下がります(笑)。しかし、自己実現のためには、そのときにやるべきことは全身全霊で取り組むという熱意も本心から話しましたので、そこが良かったのかもしれません。飾らずに生身の自分をぶつければ、ダイワボウは受け止めてくれる懐の深い会社だったんですね」

 

ダイワボウ情報システム 重本和希(しげもと・かずき)

【略歴】
1985年、兵庫県生まれ。関西大学総合情報学部総合情報学科卒。2009年入社。就活は商社を何社も受けたが、平均年齢が若く、全国に1万9000社の顧客を持ち、その先にいるエンドユーザーに至るまであらゆる業種業態の人々とつながりながら黒子的な役割を果たすダイワボウに魅力を感じて入社を決めたのだという。

 

『商社』2016年度版より転載。記事内容は2014年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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