商社の仕事人(47)その1

2018年02月26日

第一実業 岩木省吾

 

1基数十億のプラント機器販売で

世界を駆け巡る

 

 

【略歴】
岩木省吾(いわき・しょうご)
1985年茨城県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2007年入社。

 

会社の中核「プラント・エネルギー事業本部」で頭角を表す

どこの企業グループにも属さず、少数精鋭で大きな利益を上げている第一実業。それゆえに業界では「野武士集団」と呼ばれている。そんな商社に勤務している営業マンなら、さぞかし豪快で迫力あるキャラクターに違いない。そんな先入観で岩木省吾に会うと肩透かしを食らう。

まず出身学部が文学部総合人文学科文芸専修。学生時代は現代詩の研究に没頭していた。雰囲気もどことなく飄々としている。いわゆる商社パーソンらしい熱さもキレも感じられない。しかし騙されてはいけない。この男、実はかなり熱くて、キレる。

 

入社後、岩木はプラント・エネルギー事業本部に配属。中東や東南アジアの石油・ガスプラントで使用されるコンプレッサー、ヒーター、ポンプなどの中核機器を日本のエンジニアリング会社向けに営業、販売している部署だ。プラント建設はプロジェクトのスタートから完成まで5、6年はかかるビッグプロジェクト。エンジニアリング会社から機器を受注して納品するまで3年かかることもある。その機器の価格はひとつで何十億円。それだけに国内外の商社との受注争いは熾烈を極める。

勝負に勝つために重要なのが情報収集。担当者から有益な情報を引き出すために、入札直前にはエンジニアリング会社に頻繁に通う。新聞記者がライバルよりも先にネタを獲得するためにキーマンのところに通うように、岩木も何十億のビジネスをモノにするためにエンジニアリング会社に通う。ライバルたちも独自のコネや人脈を持っている。その中で、岩木たちが情報を取って勝つためには知恵を絞り、汗をかく必要がある。プロジェクトにアサインされている人を確認して、コンタクトを取らねばならない。普通に打ち合わせして、スケジュール通りやって入札が取れれば誰も苦労はしない。だからいろんな手を使う。

「例えばなかなか会っていただけない人に対しては会社のロビーで1日中張ったりと、本当に泥臭いことをやるんですよ。競合他社の営業マンが来ていたら、その後に話を聞きに行くなど、入札を取るギリギリのところでは手間暇をかけますね。扱ってる商品の額が数十億なので、機器メーカーもリスクを負っているし、もちろん私たちにも販売責任がある。いつも使ってる具体的な戦法があるわけじゃないんですが、とにかくあらゆる手段を使います」

⇒〈その2〉へ続く

 


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