商社の仕事人(47)その4

2018年03月1日

第一実業 岩木省吾

 

1基数十億のプラント機器販売で

世界を駆け巡る

 

 

ホームランバッターからヒットメーカーへ

大阪の2年間で商社マンとしても人間としても大きく成長した岩木は現在、再び東京のプラント・エネルギー事業本部で活躍している。海外へ出張する機会も増え、先日もドイツ、イギリス、フランス、オランダのメーカーを回ってきた。受注した案件に関する最終的な契約のまとめのためだ。

「不思議な話で1年前まで島根弁しか使わない日常だったのに、あっという間に英語どっぷりの世界に来ました(笑)。商社ならではのおもしろさですよね」

さらにオーストラリアの巨大LNGプラント建設プロジェクトで最も重要な中核機器を足掛け1年で受注。日本の今後のLNGの輸入の7割を担うプラントだけに喜びもひとしおだった。

「日本のエネルギー事情を支えるという、社会的な意義としてすごく大きいものでもあったので、取れてよかったです。世の中に貢献していると実感できるのがこの仕事の大きなやりがいですね」

東京に戻ってから次々と大型案件を受注している岩木だが、手放しで喜んではいられないという。大型案件を取ることは野球に例えればホームランを打つようなもの。会社の経営的にも百発百中ホームランを打たなければならない。今はそれがたまたま打てているからいいが、打線は水物だし勝負は時の運。いくら頑張っても打てないときもある。打てれば金額も大きいが、打てなくなった瞬間、売り上げはゼロになる。まさにオール・オア・ナッシングの世界。

「いつもホームランを打てればそれに越したことはありませんが、商社の仕事でそれはありえません。しかし組織として、継続的にヒットや二塁打を打てる状況を作ることはできると思います。若手には、そんな機会をたくさん与え、頑張って自分を磨いてねと言えるくらいの余裕はほしいですね。それがないと、今後会社として生き残っていくのは難しいと思うんです。私自身はいつもホームランを狙っていきますよ(笑)」

若干27歳にして自分の営業成績だけではなく、若手のこと、そして会社の未来にまで思いを馳せている岩木。今後も野武士集団を支える強力な武将となることは間違いない。

 

学生へのメッセージ

「私は就職活動の時期になっても特に行きたい業界・業種ややりたい仕事がなかったので、有名なメガバンクやメーカー、商社など幅広い分野の企業にエントリーしました。真剣に考えたのは複数の企業から内定が出てからですね。当社を選んだのは、多くの魅力的な社員に出会えたからです。こういう人たちと一緒に仕事をしたいと思いました。面接ではあまり飾らずにありのままで接した方がいいと思います。かっこいいことを言ってもすぐバレますしね。当社の魅力は自由で若手にもどんどん仕事を任せてくれるところ。その分厳しいこともたくさんありますけどね。打たれ強く、自分の食い扶持は自分で稼ぐという気概のある人は気持よく働けると思います」

 

岩木省吾(いわき・しょうご)

1985年茨城県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2007年入社。学生時代は特に詩人の白石公子さんの作品に傾倒。なかなか会ってもらえなかったが、持ち前の熱意や粘り強さで実際に会うところまで漕ぎつけた。

 

『商社』2014年度版より転載。記事内容は2012年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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