商社の仕事人(48)その4

2018年03月8日

長瀬産業 廣田孝介

 

各国現地法人との協業で

新たな価値を生み出す

 

 

新たなステージへのチャレンジ

5年8か月の駐在期間を経て、廣田は昨年日本に戻った。現在は電子業界向けに、グローバルに合成樹脂を販売するチームに所属している。

「ますます海外への生産移管が進む中、我々の部署で扱う商品は、ほとんど日本で作られていません。そして、販売の場所も海外になっています。現在の仕事は、連結でのビジネスを最大化するための企画や仕掛け作り。具体的には、仕入れ先とのグローバルでの供給体制の確立や、コストダウン検討、顧客との価格折衝や新規メーカー・商材の提案など、多岐に渡っています」

廣田のケースが上手く行ったためか、長瀬産業では以降、入社4~5年目程度の若手社員を海外へと送り出す機会が増えている。

「若手だけでなく、事業部の営業スタッフの4割ほどは海外にいる状況です。現に、私が現在所属している部署の事業部長は、シンガポールに駐在しています。私自身、日本に戻ったばかりですが、海外でのビジネスを求めて商社を選んだわけですから、またいつでも飛び出す用意はしています」

廣田は次も、小さくても伸びている国に行きたいと言う。日本同様、成熟した国には変化が少ない。マンションの一室でも、狭くてギュウギュウ詰めの事務所でも構わない。そこからまた、プラスαの価値を作り上げるビジネスに携わりたい。真のグローバルとはどういうことか、廣田に教えられた気がした。

 

学生へのメッセージ

「就職活動に対して私がアドバイスできることと言えば、あまりナーバスになるなということです。初めて社会人となる初めての会社は、確かに重要な要素があります。どこでも良いというワケにはいきませんが、私の大学の同級生を見ていると、半分ほどが会社を変わっている。それも、〝新しくこんな仕事に挑戦したい〟というポジティブな理由からです。働くということはとても大変なことですが、その分、成長も大きいものです。仕事観だって、どんどん変化する。だから、まずは自分がチャレンジしたい会社に入ってみること。あなたにはご自身が思っている以上に大きな可能性があるのです。自分を信じて、広い心で就活に臨んでください」

 

廣田孝介(ひろた・こうすけ)

1979年大阪府生まれ。早稲田大学法学部卒。2004年入社。大学5年時に、1年間ほど中国に留学した経験を持つ。海外でビジネスを作りたいという思いは、この頃に生まれたものかも知れない。

 

『商社』2014年度版より転載。記事内容は2012年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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