商社の仕事人(69)その3

2018年11月28日

三谷商事 鳴海賢一

 

自分一人ではなく、

仲間と一緒に成長していく!

 

 

現状を受け入れ、前を向き、やるべきことを淡々とやる

この仕事をしていて一番辛かったことは何か。

そう聞くと、決まって鳴海は「えっと、何かあったかなぁ……」と考え込む。「入社説明会でも、よくその質問をされるんですが、正直、ぱっと思い出せないんですよねぇ……」と鳴海は笑う。

よくよく聞いてみると、辛い経験ももちろんしている。

例えば、取引先からの「商品の品質が依頼したものと違うのではないか?」という指摘。納入完了後に指摘を受けた時は、建設中の物件を一旦取り壊さなければならない目前まで話が進んでしまったこともあった。結果的には事態の収束に全力を尽くし、事なきを得たわけだが、品質に関しては三谷商事が悪いわけでも、鳴海自身に責任があるわけでもない。しかし、「仕入れをしている立場としての道義的責任はありますから」と鳴海は言い、顧客に対し誠意を持って対応し良い関係を築いている。「先輩や上司が一緒に対応してくれたんですが、あのときはたしかに辛かったですね」と鳴海は振り返る。

さらに、「トラブルが発生しても、その時の対応次第で逆に信頼を得ることが多いです」とも語る。

あるいは、入社2年目くらいまで、ひたすら新規顧客獲得のための飛び込み営業を続けた日々もあった。〝新規開拓の飛び込み営業〟と聞いただけで、その辛さは想像がつく。

しかし、鳴海は「あれはあれでけっこう楽しかったですよ」と涼しい顔で言う。

現状を受け入れ、楽観的なまでにすっと前を向き、やるべきことを淡々とやる。まさに鳴海の真骨頂だ。

「建築看板や業界誌などで『工事が行われる』という情報を見つけて、自社との取り引きがないお客様だとわかれば、四季報やネットなどで会社のことをいろいろ調べるんです。それで『ここは仕事がありそうだな』と当たりをつけた会社には、とにかく飛び込み営業をします」

簡単に言う鳴海だが、電話でアポが取れているわけではなく、文字通り〝飛び込み〟なので門前払いを食うこともしょっちゅうだ。

「そういうときは足繁く、地道に通うのが一番なんです。ただ次に行くときは、業界の市況動向のレポートを作って持って行くなど、少しでも相手の役に立つことを考え、工夫するんです。すると、最初は頑なに会ってくれなかった相手でも『しゃーねぇなぁ』『また来たのか』と会ってくれることもあります。そういうのって嬉しいもんですよ」

そうやって人との関係が少しずつ構築されていくこと自体が楽しいと鳴海は語る。先輩から教わった通り「人を大事に」を体現しながら仕事をしているのだ。

しかし、そもそもなぜ電話でアポを取らないのか。

「たしかに電話の方が楽なんです。それは確かですけど、そこで断られてしまったら、なかなか先がないですよね。でも、飛び込みの場合は門前払いを食らっても、また行けば会えるチャンスがあるかもしれない。その可能性を残すためにも、僕はあえて飛び込みを中心にやっていました。あくまでも、僕のやり方ですけどね……」

この言葉からも鳴海の仕事へのスタンスを垣間見ることができる。普通は誰でも楽な方を選びたいし、わざわざ辛い飛び込み営業を選んだりはしない。

しかし、鳴海は「楽か、どうか」ではなく、1歩先のことまで考え、「こうした方が可能性が広がる」という判断の下、行動を決めている。加えて、どんな厳しい状況からでも楽しみを見つけることができる天性の楽天家でもある。

そんな鳴海の姿勢とキャラクターが社内外を問わず、多くの人に受け入れられ、業界の猛者たちからも可愛がられているのだ。

⇒〈その4〉へ続く

 


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