商社の仕事人(36)その1

2017年10月16日

ダイワボウ情報システム 服部将士

 

新しい切り口で

国内IT市場を開拓する

 

 

【略歴】
1980年愛知県出身。大阪府立大学農学部卒。2005年入社。

 

営業先に〝出社〟する商社マン

新しい1週間が始まる月曜日。入社2年目に初めてひとりで担当することとなったその会社に〝出社〟するのが、服部の日課だった。

オフィス関連総合商社の老舗であるA社は、パソコンをはじめとするIT関連商品のトップディストリビューターであるダイワボウ情報システム(DIS)にとって、大切なお客様である。服部の前任者は、営業経験も豊富な先輩社員だった。一方の服部は、入社して1年の間、先輩社員のバックアップ業務は行っていたものの、営業としてひとつの会社を担当するのは初めてのことだった。

「はやく担当を持って、一人前の営業としてバリバリ仕事がしたい! と、最初の1年間はそればかり考えていました。しかし、いざその時になると、IT商品の知識はあっても、お客様に合ったベストな提案をすることはとても難しいことに気づかされました。必要としないものを売り込んでも仕方がない。私たちの仕事は単なる販売ではなく、お客様とのコミュニケーションの中から本当に求めていることは何なのかを汲み取り、それを形にして提案することです。そのためには、当時の私ではまだ知恵も能力も足りていなかった。

そこで、A社に私のデスクを置いてもらい、月曜日の朝9時半から昼の12時までの間は毎週居させていただくことにしたんです。毎週1回は顔を出すという営業のスタイルもありますが、何曜日の何時にどのくらいの時間いるのかが分からないと、お客様が情報を得たいと思われたときのタイミングを逃したり、〝いないから、今回はいいや〟となってしまいます。けれど、毎週月曜の午前中には必ず服部がいる、ということが当たり前になれば、お客様も要望を貯めておいて、言いやすくなると思ったんです」

A社からの評判も上々だった。DISが、服部が、必ずやってくれるという信頼。それまではA社が手がけてこなかった、規模の大きなITに関わる仕事も、DISとならできるということで、ほぼ全面的に依頼されるほどだった。服部の〝出社〟は、その後2年間毎週続き、売上げも順調に伸びていった。最終的には、服部ひとりで2億円という数字を叩き出していたという。

「もちろん、老舗であるA社にはもともと大手のユーザーがついていたので、条件は整っていたんです。ただ、それを活かせるかどうかは、また別の話。自分の提案能力がまだ未熟だった分、機動力で勝負したという部分もあります。それでも、結果としてA社にも新規のユーザーさんが増え、長い関係のあったDISとA社との関係もつなげて、売上げも伸ばせた。営業の面白さを、実感する日々でしたね」

⇒〈その2〉へ続く

 


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