商社の仕事人(51)その3

2018年04月11日

JFE商事 小黒善之

 

企業をつなげて

自動車大国・インドの成長を

支える

 

自動車鋼材部で働くことしか考えられない

こうして小黒はJFE商事に入社することになった。これまで自分でこうと決めたことは常に貫いてきた小黒は、働く部署も自分で決めていた。同社では入社後、人事調査票に配属を希望する部署を第三希望まで書くのだが、小黒はこの時、第一希望しか書かなかった。自動車鋼材部自動車鋼材貿易室、ここで働くことしか思い浮かばなかったのである。仕事をするなら、大好きな自動車やバイクに関係することをしたかったのだ。幸い、会社は小黒の願いを聞き届けてくれ、小黒は自分のやりたかった仕事で念願の商社マンとしての人生をスタートさせることができた。

小黒が担当することになった仕事はJFEスチールが製造する鋼材を海外の日系自動車メーカーや部品メーカーに販売することである。鋼材は、鉄鉱石や石炭、石灰石からできあがる。小黒たちJFE商事の商社マンは、自動車メーカーとの密接な情報交換や厳しい交渉の末、鋼材のオーダーを取り、それを鉄鋼メーカーであるJFEスチールに発注する。JFEスチールは客が求める品質の鋼材を作り上げ、それをまた小黒たちが自動車メーカーへ間違いなく納入する。

自動車鋼材の場合、営業活動は飛び込みで行われることはまずない。メーカーに足繁く通い、先方のニーズをキャッチするのが基本だ。もちろん、先方から声がかかった時にすぐに対応できるように、その間の情報収集は怠らない。どんな難しい注文を出されても対処できる商社として、進行中の仕事はできる限り精度を高めておかなければならない。会社全体の信頼度を高めることこそが新規事業を獲得する一番の近道というわけだ。

そして自動車メーカーから声がかかったら、先方が望む製品のサンプルを納める。それでOKとなれば量産体制に入るが、ここまでたどり着くのにゆうに1年半はかかる。自動車鋼材の仕事はすべてにおいてスケールの大きな仕事なのである。それだけにやりがいも大きく、達成した時の喜びは感無量だ。

⇒〈その4〉へ続く

 


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