商社の仕事人(3)その1

2019年10月9日

ユアサ商事 清水拓也

 

いかに信頼される存在になるか。

そこから商社の仕事は始まる

 

 

【略歴】
1981年大阪府生まれ。桃山学院大学経営学部を卒業後、釣り具の小売会社に3年間勤務。2007年4月にユアサ商事に入社。

 

聞いてもらえるタイミングを見極めるという営業スタイル

「商社の仕事に決まった形はありません。ユアサ商事は売り方を担当者に任せてくれるので、人により営業スタイルはさまざま。当然、結果に対して責任は負わなければなりませんが、自由度が大きくて多様な流儀があるのが気に入っています」

入社8年目の清水拓也は、自ら勤めるユアサ商事という会社についてこう語る。

では清水自身の営業スタイルとは、どのようなものなのか。

「営業担当はその日の訪問で提案したいことがあるわけですが、始めからその説明に入ることはありません。相手があることですから、聞いてもらえる雰囲気になるまで待つことが大事です。伝える内容を頭の中でまとめておいて、世間話をしながらでもタイミングを見ます。そのタイミングは必ずあります。ふっと間が空いて、聞こうか、となる瞬間がある。そこを逃さず、要点をしっかり伝えます」

もちろん清水も、すぐにこんなスタイルを確立できたわけではない。

清水が所属するユアサ商事の関西機電部は、工場で必要となる大小さまざまな機器を扱う。ドリルやエンドミルなどの刃物、刃物を留めるツーリング、ワークと呼ばれる加工対象物を固定するためのバイスなど、工作機械の周辺機器と呼ばれる商品群がある。一方ではコンベアラインや工作機械本体などの大型設備もある。単価でいえば数十円から数千万円までと非常に幅は広い。

これらの商品は、メーカーから代理店へ、さらに販売店を経て工場で実際に使うユーザーへと販売されていく。ユアサ商事のような商社はこの商流の中で代理店の立場になる。売り込みに行くのは販売店で、メーカーが仕入れ先だ。清水が今抱える取引先は約40社で、仕入先は1000社を超える。

「入社して、まず商品の多様さ、アイテム数の多さに圧倒されました。半年後に営業担当となって外回りに出たときは、知識がないのに突っ込まれたらどうしようと思うと、とにかく緊張しました」

早く知識を収得しなければと、聞かれた商品は必ずカタログで確認し、メーカーや社内の研修会にはできるだけ出席した。少しずつ商品知識も身につくと、緊張も解けていき、それにつれてだんだん問い合わせをもらう機会が増えていった。

これでやっていけるという手応えをつかんだのは、外回りに出て2か月ほど経ったときだ。

担当になったある機械工具商に通い続けていたが、それまでにユアサ商事との取引はほとんどなかった。しかも業界でも気難しいと有名な年配の社長が相手だ。「やっぱり無理かな」と思い始めた頃、その社長に、「話があるから、まあ座れ」と言われた。

「どんな考えで営業をしているかと聞かれました。そこで、まだ全然知識が足りず分からないことばかりですが、なんとかがんばってお互いに商売につながる接点を持ちたいと思っていますと、そんな意味のことを話しました。すると、じゃルートを一本やろうかと言っていただいたのです」

別の商社からそれまで買っていたある商材を、ユアサ商事経由にしてくれることになったのだ。

「初めて、伝えたいと思ったことが伝えられたと確信できた瞬間でした。この業界でやっていけるという指針を見つけた思いがして、今でも私の支えとなっている大きな出来事です」

この一件の後、売上は毎月数百万円まで増え、清水にとって重要な取引先のひとつになっている。

⇒〈その2〉へ続く

 


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