商社の仕事人(3)その3

2019年10月9日

ユアサ商事 清水拓也

 

いかに信頼される存在になるか。

そこから商社の仕事は始まる

 

 

仕入れ先の協力がなければものは売れない

清水は、ユアサ商事では少数派の中途入社組である。前職は接客業で、店に来たお客が身銭を切って買ってくれるのを見てきたから、ものが売れていくという実感を持つことができた。だが企業を相手にする今の仕事は、目の前で相手が財布からお金を出すわけではない。お金のやりとりは伝票だけで済んでしまうというリアリティのなさに、始めはとまどった。

「商社に転職して、扱う取引額ははるかに大きくなりました。しかもやりとりするのは会社のお金。人と人との間に入って仕事をする中で、私という人間に大きな話を任せられるのかという目で常に見られています。だからいい人間関係ができないと大きな商売はできません。日々、訪問や提案をして、またアフターファイブに付き合うのも、私という人間を知っていただくために必要な仕事だからと思っています」

多くの既存取引先を持つルート営業中心の場合、陥りがちなパターンがあるという。

「お金をいただく相手である販売店に言われることを、まずは優先したくなる。営業担当としては当然のことかもしれません。しかし私たちは自分でものを作り出してはいないのです。仕入れ先のメーカーがあって、初めてビジネスが成立します。お客様の要望で調達コストを抑えたいとか、納期を無理して詰めてほしいとなることもありますが、そんなときにメーカーの協力が得られなければ、『できませんわ』で終わってしまう。そこから先に進むことはできません」

しかもインターネットが普及し、ユーザーから直接、国境まで越えてメーカーに情報がダイレクトに集まる時代になっている。メーカーから、あるユーザーにこういう話があるからそこと取引がある販売店に行ってみたらどうかと教えてもらえるような人間関係も大切だ。

「メーカーの情報をもらえないと、自分が知らないところでどんどん話が進んでしまいます。だから売り先だけでなく、仕入れ先も大切にするバランス感覚はとても重要です。販売先に対して一生懸命なのに勝るとも劣らないぐらいに、私はメーカーさんを大事にしています」

⇒〈その4〉へ続く

 


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