商社の仕事人(10)その1

2017年03月13日

蝶理 菅原 耕平

 

めげず、臆せず、

ビジネスの開発・拡大に

挑み続ける

 

【略歴】
1984年、東京都生まれ。東京理科大学工学部卒。2007年入社。

 

その日も菅原耕平は、品川の倉庫にいた。スーツを作業着に着替えると、一面に敷いたビニールシートの上に、塗料の原料をバーっと広げる。腰を落としてそれを見つめ、その中にある異物を1つひとつ探して取り除いていく。根気の要る作業だ。倉庫の中は空調も万全とは言いがたい。自宅から倉庫へ、倉庫から自宅へ帰る。これで3週間連続、本社のデスクに居たのは数時間だ。しかし、菅原の気持ちは緊張していた。「お客さんに迷惑をかけるわけにはいかない」その一念が、このつらい作業を支えていた。

「全身全霊で新規開発に取り組んでも、実を結ぶのは1割くらい」

決して筋肉質ではないが、引き締まった身体。表情はいたって柔和で、物腰も柔らかだ。その限りにおいては、本人が言う通り、確かに性格は「平和主義的」なのだろう。

これが菅原から受ける、第一印象だが、仕事に賭ける思いの強さは半端ではない。なにしろ、入社以来8年間、一貫して石油化学製品の営業を担当し、現在では国内外、大小問わず、200〜300社におよぶ多種多様な取引先と商売をしている。毎日、既存の顧客を訪問し、さらには新規開拓を目ざして、新たな企業を訪問している。

「とにかくフットワークを軽くし、既存、新規にかかわらず、積極的に企業を訪問。新たな商材や取引先を見つけていくことに重きを置いて日々仕事をしています。その際に心掛けていることは、同じ用途に使用される他商材への拡大、及び、既存商材の川上・川下に位置する商材への拡大など、縦展開・横展開を図るということです。そのためにも、様々な企業の様々な担当者に会い、様々な情報を仕入れ、それを手がかりに、さらに別の取引先を訪問するということがビジネスの発展には非常に重要なのです。ですから、必然的に訪問する取引先の数は多くなります」

菅原は、とにかく人と会って話をすることが好きだ。ビジネスはそこからしか始まらないことを、自らの経験を通して知っているのだ。だから、少しでもチャンスがあったら、訪問をためらうことはない。新規の企業を訪問する際にも、「ただ働きになってもともと、というくらいの意気込みで行くことにしている」と当たり前のように言う。海外に出張するときも、「せっかくですから、必ずそのエリア内にある、できるだけ多くのお客様を訪問する」ことを心がけている。

菅原は、座してチャンスを待つのではなく、常に自らチャンスを求めて積極果敢に動き回る男なのだ。「全身全霊で新規開発に取り組んでも、実を結ぶのは1割くらい。ただ、失敗事例からも、たくさんの事を学ぶことが出来る」その軌跡をたどっていけば、道しるべのように立ち並んでいる、成功事例や失敗事例に出会うことができる。

⇒〈その2〉へ続く

 


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