商社の仕事人(12)その3

2017年03月29日

稲畑産業 千田淳平

 

突きあたった壁を

自己変革で乗り越え、

海外へ新たな展望を広げる

 

自己変革の積み重ねで信頼を取り戻す

「まず目標を達成するために必要なことを整理してリストアップし、1つひとつどうすれば乗り越えていけるのか考えていきました」

やるべきことに優先順位をつけて、重要そうに見えても実は後回しでいいことは思い切って優先順位を下げる。たくさんある取引に対しても、その都度のプライオリティを冷静に判断する。また目標達成の為に周囲への報告・連絡・相談を徹底し、コミュニケーションを密にしながら先輩、上司、海外駐在員、さらに部長や本部長クラスまで動かしていく。課題をクリアするための課題を、次々と自分に課していった。

「あのタイミングで本部長にとことん言われたのが良かったです。厳しい言葉ではありましたが、自分の甘い考えと行動を変えるいいきっかけになりました。きっと本部長も、変わるに変われずくすぶっていた私を見かねて愛情のこもった発破をかけてくれたのでしょう。あの日からはとにかく毎日頭を使いながら自分に新しいクセをつけていくよう意識と行動を改めていったんです」

本部長の叱責から年が明けると、日が経つにつれ周囲の見る目が変わってきた。こつこつとした日々の積み重ねが、社内、そして取引先の態度も変えていったのだ。

「それまで自分がやらかしたチョンボに、こういうのがありました。新しく担当を引き継いだ取引先に対して、見積もりで通常よりも多めに利益を乗せたんです。私としてはただ会社のことを考えて、よかれと思ってそうしたんですが、顧客から大目玉を食らいました。仕入れ先と顧客の間に直接的なつながりがあって、すぐに『これはどういうことだ!』と」

顧客側の責任者は、父親くらいの年齢の執行役員。千田はその相手から「あなたは信頼できないからもう来なくていい」とまで言われてしまう。

「再び信頼してもらえるまで2年近くかかりました。いまでは価格の交渉でも『お前がそこまで言うんなら』と理解して下さることもあるし、時々飲みに誘ってもらうこともあります」

もっともこの関係修復にあたって、特に何か一発逆転の突破口があったわけではなかった。

「日々根気強く泥臭く、何の駆け引きもせず、ひたすら誠意を持って対応し続けただけ。その積み重ねが先方の担当者に理解していただけたんです」

⇒〈その4〉へ続く

 


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