商社の仕事人(12)その5

2017年03月31日

稲畑産業 千田淳平

 

突きあたった壁を

自己変革で乗り越え、

海外へ新たな展望を広げる

 

別世界に飛び込んで新しい仕事にチャレンジしたい

もう1つ千田が取り組んでいるのが新人の教育だ。2014年4月から、新入社員1人に先輩社員1人がトレーナーとなって研修を行う制度がスタート。新人を育てるという重要な役割を担うトレーナーにはもちろんさまざまな資質や能力が求められる。千田はそのトレーナーに選ばれたのだ。

「1人1人の育成方針もトレーナーが考えるんですが、自分がつまづいて悪戦苦闘した経験が役立っているようです。またこれはあたり前ですが、新人に寝坊するなと言って自分が寝坊していたら話にならないでしょう。つまり人に教えるということは、自分がその120%くらいのクォリティでできないといけない。これは自分にとってもいいプレッシャーになっています。新人に質問されて答えられないことは、陰でこっそり調べたり(笑)。そういう意味で自分も勉強させてもらっています」

入社後数年の悪戦苦闘を経て、大きく成長を遂げた千田。将来に向かっていっそうふくらむ展望は、ようやく手がかりを掴んだ海外進出を見据えている。

「本部としては担当している塗料・インキの新しいことに取り組もうという方針も出ています。そこで例えば顧客の海外進出に合わせ、海外現地法人と連携しサプライチェーンを提案し、実際に現地へ出かけたりもしています。私個人としてはとにかくいろんな取り組みを通じて自分の守備範囲をどんどん広げ、別世界に飛び込んで新しい仕事にチャレンジしたいですね」

海外現地法人は自ずと本社より規模が小さくなるので、駐在員1人1人の業務が多岐にわたる。それも千田にとっては、自分の守備範囲を広げられる魅力だ。

「場合によってはプラスチックから食品まで手がけたり、ナショナルスタッフのマネジメントも任されます。これからのキャリアプランとして、そういうステージに進むのがいまの目標です。そのために自分のテンション、モチベーションをますます高めて、仕事のクォリティも向上させていきたいですね」

30歳の節目を迎え、いっそうのキャリアアップに向けた千田の挑戦はますます加速しつつある。

 

学生へのメッセージ

「『社内外のコミュニケーションに対してお金や時間を惜しまない』というのが私のモットーです。お酒の付き合いも、イベント事も最大限関わっていこうと思っています。会社に入ると分かりますが、仕事をしていく上でいろんな人の力、知恵、経験が必要になってくる。ふだん関わりのない人でも、いざという時にすごく力になってくれたりするんです。ですから、そうした関係づくりに時間を惜しまず、むしろ積極的に増やしていくようにしています。
就職活動については、自分の価値観やイメージにとらわれないで幅広くいろんな業界、仕事を見てほしい。どんな分野が自分の肌に合うのか、実際に見ないと分からないことがたくさんありますから。商社という仕事についていえば、営業1人1人の自由度が高く、必要があれば国内海外問わずいろんなところを飛び回ることができます。体力、バイタリティがあって、ものごとを広く見られる人なら、理系、文系問わずトライしてがんばってみる価値はあるでしょう。そのなかで当社がアピールできる部分は、まず何より人の魅力。面白くて信頼できる人がたくさんいます。またもう1つ、欧米、アジアをはじめ世界中でビジネスを展開し、いまもそのフィールドを広げつつあるということ。努力次第で新しい世界に飛び出していける土壌がありますから、チャレンジのしがいは大いにあります」

 

千田淳平(ちだ じゅんぺい)

【略歴】
1984年埼玉県生まれ、明治大学政治経済学部出身。

 

『商社』2016年度版より転載。記事内容は2013年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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