商社の仕事人(21)その1

2017年05月29日

長瀬産業 竹田成宏

 

「生活関連事業」という

新しいビジネスの柱を建てる

 

 

【略歴】
1985年和歌山県生まれ。関西学院大学経済学部卒。2007年入社。父親が商社パーソンであり、幼い頃から商社の仕事の面白さを聞かされて育ったことから、〝就職は商社〟と早くから考えていたという。

 

社運を賭けた買収の最前線に

2011年の夏、商社業界ではあるニュースが大きな話題となった。

「長瀬産業が実力派バイオメーカーである林原を買収、子会社化」

出資・融資に投じられた金額は、およそ700億円。事業環境が目まぐるしく変化するこの時代、異業種や他企業への出資と連携を通じて新しいビジネスモデルを模索する商社が多い中、長瀬産業の試みは象徴的なケースであることは確かだった。とはいえ、その規模はあまりにも大きく、リスクがあることも充分に考えられることだった。そんな社運を賭けた取り組みの最前線で汗を流していたのが、入社5年目の竹田だった。

「長瀬産業の当時の主力事業といえば、染料や顔料などを扱う化成品セグメントと、機能性樹脂などを扱う合成樹脂セグメント、そして半導体や液晶ディスプレイ、有機EL用材料などを扱う電子セグメントでした。しかし、各事業は業界の好不調の影響を受けやすく、その影響が大きい中、新しいビジネスの柱を築くことが必要と考えられていました。そんな中で注目されていたのが、ヒトの食や健康、美といった業界に貢献し、安定的な成長が見込める生活関連セグメントでした」

長瀬産業には、もともと食品素材や医薬・医療素材、化粧品素材を取り扱う生活関連事業の部署があり、規模は少しずつ拡大していたものの、他の事業セグメントと比較するとまだまだ成長の余地が残されていた。

「実際に、化成品や樹脂に次ぐ事業の柱を持てればいいなと、私自身も以前から感じていました。そんな頃に、林原の買収話が突然持ち上がりました。まさに青天の霹靂でした」

⇒〈その2〉へ続く

 


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