長瀬産業 竹田成宏
「生活関連事業」という
新しいビジネスの柱を建てる
林原の商材を売る営業部へ
2012年2月3日、林原は長瀬産業の100%子会社となり、新たなスタートを切った。そして竹田はというと、2013年7月より、ライフ&ヘルスケア製品事業部 パーソナルケア部HB製品課へ配属される。
「しばらくの間は、経営企画室で生活関連セグメントの事業方針の策定を行っていました。大規模なビジネスを持つ林原を買収したことで、それまでの長瀬産業既存の事業とのバランスが大きく変わりました。そこで、生活関連事業では林原を中核に据え、コンサルタントを入れて既存事業の統合や新しい組織作りに携わりました。しかし、このような業務に携わる中で、自分に足りないものがあることにも気づかされました」
それは、〝営業の経験〟だったという。長瀬産業の事業に関する政策作りを行う中で、自分の意見はおそらく間違ってはいないはずだが、意見の中に重みがないのではと竹田は感じたのだという。足りないのは〝現場感覚〟。これがなければ、真に有益な組織づくりはできないのではないかと考えたのだ。
「そこで、扱う商材は何でもいいので、営業部に行かせてほしいと願い出ました。現場での経験を持って、今一度経営企画に携わりたいと。幸いなことに、林原の製品を扱う部署に配属してもらい、今、入社1年目のつもりで営業パーソンとして走り回っています」
竹田が取り扱うのは、林原が世界で初めて発見した酵素によって大量生産が可能になった「トレハロース」。高い保水機能を有する天然糖であり、これを化粧品原料として国内外の化粧品メーカーに売り込んでいる。
「世界の化粧品業界は、今後も持続的な成長が見込まれる市場です。〝美しくなりたい〟という欲求は、程度の差こそあれ世界各国変わりません。私たちは原料サプライヤーという立場から、化粧品会社の新製品の開発もサポートしています。化粧品業界は世界で40兆円の市場を持っていますが、上位の20社ほどで約7割のシェアを占めています。日本国内にもおよそ1000社がありますが、上位20社の中に日本のメーカーは数社です。私たちの立場としては、上位20社を相手にいかにビジネスを伸ばしていくかが重要な鍵となるため、必然的にお客様は海外メーカーが主になります。しかし、これまでの長瀬産業は、海外の現地法人で〝化粧品関連〟のビジネスを行ってきた経験が少なく、組織体制や物流などの土台を作っていかなければなりません。これからやることが山積みです」
⇒〈その5〉へ続く