商社の仕事人(22)その1

2017年06月5日

メタルワン 池田賢太郎

 

大切なことは

〝自分がどう行動するか〟。

相手の国や言語は関係ない

 

【略歴】
1983年埼玉県草加市生まれ。早稲田大学第一文学部ドイツ文学専修卒業。2007年、メタルワンに入社。大学時代にドイツに留学した際、その環境意識に感銘を受け、インフラ、特にクリーンエネルギーに関わる仕事を志す。

 

事業規模1100億円。日本・インドの国家間プロジェクト

深夜1時、電話が鳴り響いた。

「池田、ついに決まったぞ!」

池田は安堵の表情を浮かべた。

2013年4月、日本とインドが共同で進めるムンバイ・デリー間を結ぶ高速鉄道の建設案件向けに、約16万トン(約626km)の鉄道レールを供給するプロジェクトの受注が内定した。事業規模1100億円。入社7年目・29歳の池田は、メタルワンにとって過去最大規模のプロジェクト、いや、円借款案件として日本史上最大のプロジェクトへの参画に成功したのだ。

この事業に携わるようになってからおよそ1年半、何度もインドに出向きプレゼンをしたこと、そして、入社以来のさまざまな経験が胸に去来する。「世界を相手に、人と人をつなぎ、社会を支える大きな仕事がしたい」という学生の頃に抱いた志が蘇る。

人と人とをつなぎ、大きなことを成し遂げる仕事がしたい

池田は大学時代、百数十人のメンバーを抱える日本最大級のスキーチームの〝技術指導〟という役職に就き、幹部を務めていた。池田は、初心者が大半であるこのチームを、大学内の主要10チームが競い合う大会において十数年ぶりの優勝に導きたいと考えていた。雪の無いオフシーズンから、優勝を意識してチームメイトに声掛けし、プロ選手の映像を見せ理想の滑りを頭に叩き込ませ、その滑りに近づくために日々の練習メニュー作りに力を入れた。冬は数か月もの間、チームメイトと雪山に籠って練習に明け暮れた。自分が人一倍練習し手本となるだけでなく、個々の滑りをビデオに撮り改善点を説明することを繰り返した。1人ひとりと向き合ううちに、ぶつかり合いながらも徐々にチームの結束力は強固なものとなり、全員がレベルアップし、それぞれに「自分がチームを引っ張る」という気概が生まれた。結果、学内大会で悲願の優勝を成し遂げ、全国大会でも数多の雪国の体育会スキー部が出場する中で6位という快挙を成し遂げた。

この経験がきっかけで、「人と人をつなぎ、まとめ、導き、大きなことを成し遂げる」、そんな仕事がしたいと感じ、商社を志望した。

 

もともと資源やエネルギーに興味を持っていた池田は、それら全ての産業に関わっており、かつ取り扱う金額やスケールが大きい鉄鋼総合商社を志望した。

「メタルワンの選考では、面接までの待ち時間に、採用担当が緊張している私に優しく声をかけてくれたのが印象的でした。肩の力がすっと抜けたのを覚えています。その時に、〝この会社は人を大事にする会社なのだ〟と感じました」

そして2007年、池田はメタルワンに入社することになる。

⇒〈その2〉へ続く

 


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