商社の仕事人(22)その5

2017年06月9日

メタルワン 池田賢太郎

 

大切なことは

〝自分がどう行動するか〟。

相手の国や言語は関係ない

 

契約に漕ぎ着けるまでの長い道のり

受注が内定し、ひと安心したのも束の間、そこから実際の契約に至るまでの道のりは非常に長く苦しい道のりであった。顧客からの相次ぐ追加要求や、大幅な値下げ要求など、新たな要求を次々と突き付けてきたのである。

「海外ビジネスの難しさを改めて実感しました」

池田は再びインドへ出向き、交渉をすることになる。この時のインドでの交渉は、想像を遥かに超えるハードなものとなった。

「交渉の際、日本側からは池田の他にメタルワンインドの現地社員、鉄鋼メーカー担当者の計3、4人で出向きました。一方、相手は総勢20人以上のことがしばしば。非常に主張が強いインド人の方が何十人もおり、それぞれが自らのアイデアをどんどん発言することも多い上、国家規模の大型プロジェクトですから、議論する内容も数多くあります。時には交渉が10時間以上にも及ぶこともありました」

ハードな交渉を何度も積み重ねた結果、受注内定から半年以上が経過した2013年12月の最終営業日、ついに契約の最終合意を得た。

さらなる高みを目指して

2014年6月、今後長きにわたりインドの物流を支え続けることとなる日本製レールを積載した船が、出港のときを迎えた。これからの池田の仕事は、今後2016年まで、レールの納入を確実に遂行することだ。それに加えて、この事業にはあと5つの入札が控えている。今回のように規模が大きい鉄道レール供給プロジェクトでは、一度の入札で全て決定するのではなく、区間に分けて複数回の入札が行われることがある。メタルワンが今回受注したプロジェクトは7つに分けられた区間の内、最初の2つである。これらを受注したことで、人材や設備が現地で稼働した際、新たに準備を行う手間や費用が抑えられるため、今後の受注争いも有利になる。

「このプロジェクトは、全てメタルワンが取りたいですね」

日本史上最大の円借款案件受注に向けて、どこまでも真摯に、そして粘り強い交渉力を武器に、池田は今日も奔走する。

「大切なことは、自分がどれだけ相手の懐に飛び込めるか。真摯に、謙虚に相手と接し、理解し、共感したいと感じるか。そういう自分の気持ち・行動こそが重要で、相手の国や言葉は関係ないと思います」

 

学生へのメッセージ

「どんな企業に入社し、どんな仕事を担当しても、自ら主体的に行動することが大事だと思います。そして、その主体性を受け入れる環境が職場にあることが重要です。メタルワンにはやる気のある人を応援してくれる風土があります。さらなる進化の可能性を秘めた若い会社であり、1人ひとりが主役になって働くことが出来る会社だと感じています。『自分たちで素晴らしい会社を創っていく』、そんな気概がある人にぜひメタルワンに来てほしいと思います」

 

メタルワン 池田賢太郎(いけだ・けんたろう)

【略歴】
1983年埼玉県草加市生まれ。早稲田大学第一文学部ドイツ文学専修卒業。2007年、メタルワンに入社。大学時代にドイツに留学した際、その環境意識に感銘を受け、インフラ、特にクリーンエネルギーに関わる仕事を志す。

 

『商社』2016年度版より転載。記事内容は2015年取材当時のもの。
写真:葛西龍


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