商社の仕事人(24)その2

2017年06月20日

阪和興業 山本雄己

 

プロフェッショナル&

グローバルを体現する

 

 

失敗から学ばせて一人前にする

「長年続いてきた取引先との商談が途切れてしまった。どうするんだ」

山本の指導員となった先輩社員からは、厳しく叱責をされた。成果を出せなかったことに対してではなく、プロセスに関してだ。もっと周囲を積極的に巻き込んで、早期から適切なアプローチができていれば結果は変わっていたかもしれない。

「すぐにでも対策を考えねば」

山本は改めて現地事務所とこの案件の詳細について議論した。その内容を鉄鋼メーカーに報告し、あらゆるリスクを協議して、互いの条件整理をした。今度は途中で取引条件が変わることもなく、鉄鋼メーカーからOKの返事をもらえた。1か月分の契約を飛ばしてしまったが、継続してきた取引関係が途切れるという最悪の自体は避けられた。

「鉄鋼メーカーも、生産体制に余裕があれば多少の変更は受けてくれます。しかしこのときは鉄鋼の国際相場も変動が激しくて、柔軟な対応をしてもらえませんでした。急にエンドユーザーが変わったのはどうしようもないにしても、経験を積んだ営業担当者なら現地事務所をリードしたり、メーカーともっときめ細やかな交渉をして成約に持って行ったはずです」

今思うと上司も指導員も、失敗して学ばせるというスタイルだったのだと山本は振り返る。

「失注が決まってしまったときはショックでしたが、最終的には、よくやった、なんとか自分の力で決めたなと言ってもらいました。たぶん私の上司は、早く一人前になってほしかったのだと思います。有難い経験をさせてもらいました」

⇒〈その3〉へ続く

 


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