商社の仕事人(24)その5

2017年06月23日

阪和興業 山本雄己

 

プロフェッショナル&

グローバルを体現する

 

 

プロフェッショナル&グローバルを体現する

今では山本は最低でも月に1、2回のペースで海外出張に出る。主な目的は顧客開拓で、鉄鋼メーカーと一緒に市場調査をしたり、サンプルを片手にプレゼンテーションをしに行くことも多い。

中でも印象に残っているビジネスのひとつが、中国のコイルセンターとの取引だ。最初のうちは電話をしても、直接訪問してプレゼンテーションをしても全く相手にしてもらえなかった。だが工場の敷地内には多くの薄板コイルや加工設備が並んでいて、相当手広く商売をしていることが窺われた。商機はあるはずなのだが、何故それが掴めないのか理由が分からない、苦悩する日々が続いた。

「顧客のリサーチを続けるうちにようやく、見向きもされなかった理由が分かりました。その社長は別の会社も経営していて、そこで以前、あるビジネスで阪和興業が迷惑をかけてしまったことがあったのです。たった一度でも取引先に対して不手際があれば、徹底的に検証したうえできちんと謝罪するようにと当社では厳しく言われています。私も謝罪方々、同じ不手際が起こらないように輸送スケジュールなどの細かい説明をしに中国に通い詰めました。時間はかかりましたが、そうした姿勢がやがて受注につながりました」

今では山本はこの社長と懇意になり、日本に来たときは必ず同行する。桜の季節には花の名所に連れて行き、温泉宿で同じ部屋に泊まってジェスチャーや筆談で会話をした。

「君が中国語を話せれば、言うことないのになあ」と言われたこともある。

成約の後も、山本は納入品の評価を確認する。現地の最終ユーザーが鋼材を加工して製品などを作るが、海外の加工設備と国内の加工設備の細かな違いについて理解していないと、本来の材料としての性能が出せない。製品に対するクレームが出たり、使えずスクラップになったというケースは大抵、材料としての性能が引き出せなかった時だ。

「そういうやりとりを繰り返し経験したので、私も自然といろんなことを覚えました。新規の顧客と取引する際には、こう加工するといいですよと工場におけるオペレーションまで提案します。君は本当に営業マンか、技術者じゃないのかと聞かれることもよくありますね」

山本は阪和興業の薄板販売で新たなビジネスを開拓した。その鋼材については商品知識も豊富だし、技術コンサルタントのような提案もできるので、鉄鋼メーカーと取引先の誰からも頼られる存在になっている。

これまでは国内を拠点として薄板だけを扱ってきたが、そろそろ海外駐在にも出てみたいと山本は言う。

「同じ鉄にしてもいろんな商材が扱えるし、その土地に駐在することで今までになかったビジネスが見つかるかもしれません。予想もしなかった国に行って、新しい可能性を探るのもありかなと思っています」

扱う商品は変わっても、この6年余りで得た経験は必ず生きてくる。どんなビジネスに携わろうと、「プロフェッショナル」と言われることを目指しながら、次の挑戦への野心を山本は抱き続けている。

 

学生へのメッセージ

「就職活動では色々な業界を見て回りましたが、商社の方が一番エネルギッシュかつ楽しく仕事をされているように見えたため、商社業界を志望するに至りました。数ある商社の中で、阪和興業を選んだ理由は『人』です。お会いする人全員が魅力的で、何より一緒に働いていくイメージを描くことができ、入社することを決意しました。現在、入社してから5年半経過しましたが、あの時の決断に間違いはなかったと確信できる程に、充実した毎日を過ごしています。
私は時々阪和興業の会社説明会に社員の立場で参加しますが、以前に比べるとおとなしい学生が多くなりました。自分が勤める会社を決める上でここだけは知りたいというポイントが必ずあるはずなので、ぜひそこを質問して、どんな答えが返ってくるかを聞いて判断してください。座って聞いているだけでは、説明会に行く意味もないと思います。何事にも積極的に取り組み、実りある就職活動にしてください」

 

山本雄己(やまもと・ゆうき)

【略歴】
1988年京都府生まれ。同志社大学法学部法律学科卒。2010年に阪和興業に入社。以来、海外営業第1部第1課で鋼材の営業に携わる。

 

『商社』2017年度版より転載。記事内容は2015年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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