商社の仕事人(26)その3

2017年07月5日

トラスコ中山 本間三紀

 

自然体で、

自分の強みを活かす

 

 

経営企画課で全社予算を策定する苦労を知る

大阪本社にある経営企画課は、それまで経験した支店の仕事とはまったく雰囲気が異なっていた。まず電話がほとんど鳴らない。オフィスで1日中机に向かう毎日だ。

「社長や役員と同じフロアで、なぜここに呼ばれたんだろうと思うと落ち着かなくて、慣れるまでには時間がかかりました」

ここでは全社予算を始めとする経営計画の策定が、1年の仕事の中心となる。ほかにも経営会議の議事録作成、景況や競合情報を分析して事業所に提供する月次資料の作成などやることは多い。

予算作成の基準となるのはその前年度の実績で、決算の2カ月ぐらい前から数値を推測する。全体予算を前年比の何パーセント増にするかは、各種の経済指標や今後の景気予測などを見て設定する。それを支店ごとに割り振るが、ここでも各支店をどう評価をするかで数字が変わってくる。

経営計画案ができると、直属の部長や本部長に持って行く。そこで説明して納得してもらえないと経営会議には上げられない。経営会議の席でダメ出しが出ても、作業は一からやり直しとなる。本間は苦闘した。

「経営企画課の当時のチーフには、どういう理由でこうしたのかと繰り返し聞かれる場面がありました。理由が明確でなければ書き直しです。きちんとした根拠をもとに、いかに論理立てて伝えるか。どう言えば納得してもらえるのかということも含めて、とても勉強になりました」

本間は経営計画課に在籍中、リーマンショックや東日本大震災も経験した。どちらも前例のないできごとで、会社の業績にも大きく影響する。その為、このときは予算を立てるのにことのほか苦労した。

「トラスコ中山は上場企業で、経営企画課が作った数字は一般向けにも公開されます。当然数字の間違いは許されません。しかも予算を立てて結果が出るのは1年後です。予測では景気がよくなるはずでも、実際には誰も分かりません。結果次第で会社にダメージを与えてしまうし、支店で働く社員のモチベーションにも大きく影響します。策定した時点では正解がないのが、予算策定の難しいところです。

それでも当社はオープンな会社なので、正直な数字を出します。下方修正も上方修正も素早く公表します。ここまで株主様や投資家様、そして社会に対して誠実に対応する会社はあまりないはずです」

数字は単なる羅列ではない。数字は生きていて、そこから多くのことを読みとらなければならない。場合によっては、会社の本質まで表現する、本間が得たことは多かった。

⇒〈その4〉へ続く

 


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