トラスコ中山 中西陽子
どんな仕事でも、
わくわくする気持ちを忘れずに
【略歴】
兵庫県生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)商経学部国際商学科卒。2005年入社。大学3年から4年にかけて中国の広州に1年間留学。
最初の職場で大量の発注ミス
商社の新入社員は早くから営業現場に配属になることが多い。トラスコ中山に入った中西陽子も、3か月の物流研修が終わるとすぐに名古屋支店に配属になり、まずはセールス&サポート=SSP(内勤営業)、その後セールス&ソリューション=SSL(外回り営業)を経験した。だが3年後にはオレンジブック部カタログ・メディア課に移る。自社の商品カタログ『オレンジブック』を制作する部署である。商社にいながら印刷メディアの編集制作に携わる機会はなかなかない。そして2013年11月からはタイの現地法人、プロツールナカヤマが彼女の職場となる。現在トラスコ中山の海外拠点はここ1か所で、中西は日本から3人目の駐在員だ。もともとジョブローテーションが多い会社ではあるが、少なくとも入社9年目の現在まで、ほかの人が経験する機会が少ない仕事に就いている。
大学4年生の9月まで海外に留学していた中西は、就職活動でも大多数の学生とは違った経験をした。帰国後わずか1か月の短期勝負で、門戸を開く企業も限られていた中で、出会った数社の中から選んだのがトラスコ中山だった。
「商社志望の学生は営業職を希望する人が多いのかもしれませんが、私は自分の素を出していられる会社に出会えたからというのが入社の決め手でした。採用担当の人が以前はSSLで、そのパワーにも引かれましたが、最初は特に営業職を希望していたわけではないのです。それでも自分なりにこれまでやってこられたのは、SSLを経験したおかげだと思っています」
トラスコ中山では、営業現場に配属になると、まずSSPを経験するのが通例である。中西はこのSSPになってから1か月目に、大きなミスをしてしまった。お客様である販売店様から工具などを整理するのに使うツールワゴンの発注を受けたとき、「組み立て不要の完成品が届くよね」と電話で念を押されて「はい、大丈夫です」と答えた。だが先方が言った発注番号は、完成品ではなく組立式の商品であることに気づかなかった。
その結果、販売店様のもとには現場で組み立てが必要なツールワゴンが50台余り届いた。発注した販売店様から怒りの電話があって、中西は初めて何が起きたかを知った。
「そのとき私はSSPなので支店から離れることができず、申し訳ない、どうしようと気を揉むばかりでした。しばらくしてから再度、販売店様より連絡があり、こっちでなんとかするからいいよと言っていただきましたが、心臓が痛くなる思いでした。結局当社の担当SSLと販売店様が全部組み立ててくれたので、返品にならずに済んだのです。しばらく経ってからSSLとして担当になったとき、改めて頭を下げに行きました。いやあのときは大変だったよと笑い話になりましたが、今振り返っても一番大きな失敗です」
⇒〈その2〉へ続く