トラスコ中山 中西陽子
どんな仕事でも、
わくわくする気持ちを忘れずに
タイの現地法人に飛び込んでいく
タイにあるトラスコ中山の現地法人、プロツールナカヤマは2010年11月に設立された。現地に出ている日本の販売店様に商品を卸しており、ユーザー様への直接販売はおこなっていない。商売の形態としては日本と同じ卸売のルートセールスである。売上は順調に伸びていて、今回の中西の配属で、日本人は男性1人、女性2人の3人体制になるため、更に体制が強化される。ほかに14名のタイ人スタッフもいる。
オレンジブックには、タイで使うために作られた英語とタイ語を併記したバージョンもある。まさかそれを現地で見ることになるとは、中西は思ってもいなかった。
「海外に行くことが決まって、やっぱりわくわくしています。先にプロツールナカヤマに行っている女性は同期で、この間日本に戻ってきたときに現地のことをいろいろ聞きました。タイの人は職場をよく移るので大変だと言っていましたが、そういう話をする彼女がとても楽しそうだったし、ずいぶん成長したなと感じました。タイに子会社がある販売店様からは、向こうですぐ欲しいときに便利で大変助かっていると聞いています」
プロツールナカヤマでは社内の会話や文書は英語を使うのが基本だという。もちろんそれだけでなくタイ語も必要になるので、向こうに駐在しながら語学学校に通う。中西はひとまずSSPとして現地スタッフをまとめる立場で、在庫補充や輸入業務、タイの現地企業からの問い合わせへの対応などもする予定だが、実際に何をすることになるかは現地に入ってみないと分からない。会社の規模を拡張しているところなので、しなければならないことは次々に出てくるに違いない。3年から5年程度タイにいることになると言われているが、これもどうなるかは分からない。
「短い就職活動で入ったので最初は分からなかったのですが、トラスコ中山は女性でも男性でもチャンスがもらえる会社です。チャンスを逃さずに行動することを意識していれば、チャンスは巡ってくると思います。私はものごとを先回りして心配してしまう方だったのですが、それではいざというときに動けません。初めて聞いてわくわくした気持ちを忘れずに、思い切って飛び込んでいけば、これからも思いがけないような経験ができるはずです。正直不安もありますが、期待のほうがはるかに大きいです。タイにはタイ語版と日本語版、両方のオレンジブックがあるので、早く行って実際に使われているところを見てみたいですね」
タイ語版のオレンジブックは2年前に制作したが、まだ改訂していない。プロツールナカヤマの業績をさらに伸ばして、毎年改訂できるようにしたいというのが中西の今の目標だ。プロツールナカヤマが大きく成長すれば、トラスコ中山の海外拠点がさらに広がっていくことになるかもしれない。
学生へのメッセージ
「私は2年生のときに、400人の大学生が1か月間かけて太平洋を一周する船の旅に参加し、海外に行くことのおもしろみを知りました。中国に留学したのも、動機は単純に楽しそうだったからです。1年間、語学を習得する難しさを知るとともに、自力でもどうにかなるという自信がつきました。中国人だけでなく香港やタイ、インドネシア、韓国の学生とも知り合うことができましたが、一番仲良くなったのがタイ人で、この機会に再会できる事を楽しみにしています。就職活動と留学が重なるのは分かっていましたが、とにかく行ってみたくて躊躇はしませんでした。その分短い就職活動になりましたが、私は自分の素を出せる会社が見つけられて幸運でした。無理して自分を偽って入社しても、後で違ったと思うのでは辛い社会人生活になってしまいます。面接でも自分から素を出せば、面接官も人間なので素で応えてくれるはずです」
中西陽子(なかにし・ようこ)
【略歴】
兵庫県生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)商経学部国際商学科卒。2005年入社。大学3年から4年にかけて中国の広州に1年間留学。
『商社』2015年度版より転載。記事内容は2013年取材当時のもの。
写真:葛西龍