商社の仕事人(38)その4

2017年11月16日

阪和興業 桒田清貴

 

新エネルギーの世界に

未来を託す

 

 

リサイクル燃料のRPFを販売する

震災から半年ほど過ぎた頃、桒田は燃料油のほかにRPF(廃棄物固形燃料)の販売も本格的に手がけることになった。それまで担当していた先輩が仙台に転勤することが決まり、後を引き継いだのである。

RPFは廃棄物となった紙や木屑、プラスチックを混合し、圧縮熱処理をして固めたものである。コルクのような形状で、主に石炭代替燃料として使われる。製紙工場では広く利用され、ほかにも高炉を持つ製鉄工場や石灰の工場などもユーザーとなっている。阪和興業が取り扱うようになってから十数年になる。

「石炭は石油よりも安いのですが、法律で化石燃料を減らすように定められているために、工場では以前から建築廃材などの木材などを混ぜて使われています。製紙会社では再生紙を作るために集めた古紙の中に、原料として使うことができないような紙類も混じります。以前はこれを廃棄物としてそのまま捨てていましたが、パルプにする木材チップを煮るための燃料にできないかというところからRPFは始まりました。大手製紙会社ではほとんどがRPFを使っています」

RPFのメーカーは、原料の産業廃棄物を集めた時点で廃棄物処理料が入ってくる。さらに加工したものを燃料として販売すれば、その分収入が増える。阪和興業は燃料を扱う商社として、メーカーからRPFを仕入れて石炭ボイラーを稼働させているユーザーへ供給する。石炭ボイラーにも種類があり、石炭を粉にして燃やすタイプだとRPFは使えない。石炭を固体のまま燃やしている工場が対象になるが、このタイプの石炭ボイラーは小さいもので5階建てのビルぐらいの高さがあり、広さはバスケットボールのコート2面分とかなりの大きさになるため、設備を持つ相手は自ずと限られてくる。

「油もRPFもユーザーにとっては燃料ですが、商材としてはまったく別のものです。油はどのボイラーでも焚けますが、RPFは焚けるボイラーが限られ、売り込み先ははるかに少なくなります。私は入社当時から、先輩からRPFも勉強しようと言われて販売先やメーカーに連れて行ってもらいました。石炭ボイラーを持っている会社なら、RPFと言えばどんなものか知っています。うちでも使ってみようかと考えていた、提案してくれるなら聞いてみたいという話になることは多いですね」

⇒〈その5〉へ続く

 


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