商社の仕事人(39)その2

2017年11月28日

第一実業 飯塚 誠

 

フロンティアスピリッツを胸に、

海外で活躍

 

 

トラブル対応で大きく成長

飯塚が第一実業に入社したのは2006年4月。まずは名古屋事業本部プラント・FA部に配属。大手自動車メーカーおよび関連の部品メーカーへの自動車製造関連設備の販売から商社マンとしてのキャリアをスタートさせた。

1年目は顧客との関係を構築するのと仕事の基礎を覚えるので、瞬く間に過ぎ去っていった。ようやく仕事に自分らしさを出せるようになった2年目、飯塚は商社マンとして厳しい洗礼を受けることになる。

ある日、お得意様である自動車部品メーカーの担当者から、飯塚が納品した部品製造設備にトラブルが発生したと電話がかかってきた。

「その設備は元々納期がすごく短くて、仕入れ先のサプライヤーさんに頑張ってもらい、なんとか納期ぎりぎりで間に合ったのですが、現地で据え付けしている段階で問題が起きてしまって。かなりお怒りのご様子で、すぐに来いと言われ、飛んでいきました。それ以来、1か月ほどそのお客様の会社に張り付いて対応に当たりました」

顧客の担当者からはとにかく一刻も早く直してくれ、とプレッシャーを与えられる日々。時には「第一実業はこんな不良品を売りつける会社なのか! お客様にうちの部品を納入する期日が間に合わなかったらどうしてくれるんだ!」と厳しい言葉も浴びせられた。

ヤバイ、早く何とかしなきゃ。気ばかり焦ってどうすればいいのかわからなかった。焦るあまり、その設備のサプライヤーの担当者にも「早く対応してください、修理やるんですかやらないんですか、いったいいつになったら直してくれるんですか!」ときつい口調で何度も催促したが、なかなかトラブルは解消されなかった。

早く直せとプレッシャーをかけてくる顧客と修復作業に手間取るサプライヤー。その間に入って胃がキリキリ痛むような日々を過ごしていたが、あるとき“開き直った”。

「もちろんリスクヘッジは必要だが、起きてしまったトラブルはしょうがない。どうしようといたずらに悲観したり焦ったりするだけではなく、いかに解決するかに集中しよう。そう肚を決めたんです」

改めて冷静に顧客と協議しこちら側の責任と無償対応の範囲を決め、一方サプライヤーとも冷静に話し合い、トラブルを1つひとつ解決していった。すると事態は徐々に好転し、最終的にはベストではないけれど三者が納得できる妥協点、つまり「落とし所」を見出して、収束させた。

「この一件以降は問題が起きてもいたずらに焦るようなことはなくなり、あのときはこういうふうに解決したからこの方法でいこうと冷静に対処し、うまく解決できるようになりました。何事も経験ですね」

解決策の引き出しが増えたことで迅速に問題解決ができるようになった飯塚はその後数多くの顧客から信頼を得られるようになり、着実に営業実績を積み重ねていった。

⇒〈その3〉へ続く

 


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