第一実業 飯塚 誠
フロンティアスピリッツを胸に、
海外で活躍
2年目の新天地
初めての異国の地での仕事と生活。1年などあっという間に過ぎ去った。それでも努力して現地の風習や考え方にも慣れ、トラブルにもスムーズに対処できるようになった頃、飯塚に新たな異動辞令が下りた。マナウス事務所への異動だった。
マナウスはブラジル北部、アマゾン地域の赤道直下に位置する人口200万人の都市で、1967年に免税都市に指定されて以来、日本含め、アメリカやヨーロッパなどから多くの企業が進出していた。しかし、免税のシステムは商品を動かしてその差額で利益を得る商社にとってはあまりうまみがない。事実、サンパウロには支社と駐在員を置いてもマナウスには置いていない商社がほとんどで、サンパウロの駐在員が月に1、2度マナウスに出張に行く程度だった。
しかし、第一実業はライバルが少ないからこそチャンスがあると見てマナウスに営業所を設置していた。いかにも野武士の異名をもつ第一実業らしい戦略だった。
そして2010年3月、飯塚はマナウス行きの飛行機に乗り込んだ。サンパウロからマナウスへは4時間ほどのフライト。マナウスはアマゾン地域を切り拓いて作られたので、上空から眺めていると突然ジャングルの真ん中に街が出現するといった世界的にも珍しい光景を目にすることができる。
マナウス事務所で飯塚に与えられた役職はオフィス・マネージャー。つまりブラジル赴任2年目にして事務所の責任者となったのだ。
「マナウスは田舎の小さな街ですが、日系企業が多数進出しているし、常駐している商社は当社だけなのでビジネスチャンスは必ずあるはず。この新天地で絶対に結果を出してやるという意気込みで乗り込みました」
そのチャンスは意外と早くやってきた。
⇒〈その6〉へ続く