商社の仕事人(43)その2

2018年01月23日

ユアサ商事 日野雄介

 

工作機械ビジネスの

新しいあり方を開拓する

 

 

岐阜エリア全域の顧客を任される

この年の10月、先輩が一人転勤したのをきっかけに日野の仕事が一気に増えた。岐阜エリアの全域を任され、それまで10件程度だった客先は数十件になった。

顧客が増えたといっても、もちろんすぐに数字には結びつかない。初対面の販売店に、まずはあいさつ回りをする日々が続く。

「私たちのようなルートセールスは、常に競争相手がいて市場を取り合っています。ライバルと同じことをしていたら新参者は勝てません。まずはクイックレスポンスを心がけました。新製品が出ればすぐ案内する、カタログが欲しいと言われればすぐに届ける。商品の引き合いがあったら、言われたものだけでなく、もっと値段が安いものや、高いけれども耐久性があるものも紹介して、その中から選んでもらう。いろいろな方法で差別化するようにしました」

そのうちに、訪問先ごとに誰に会って何を話せば効果があるかがわかるようになった。すると顧客回りにも無駄もなくなる。

「効率的な回り方が見えてくると、引き合いがポンポンとくるようになりました。2年目の終わり頃に、エンドユーザーが海外に工場を出すので、特殊なネジを削り出す加工をする旋盤が必要になったという案件がありました。すごく苦労したので、今でもよく覚えています」

日野はメーカーの営業担当者を販売店に紹介した。機械の仕様については、メーカー、販売店、エンドユーザーが話し合って詳細を詰めていく。だがこの仕様打ち合わせの場に、日野自身は参加しない。ユアサ商事はメーカーと販売店をつなぐ立場にあり、エンドユーザーから見ると黒子のような存在だ。メーカーや販売店とだけ商談をするのが基本で、エンドユーザーに会うことはまずない。

それでも輸出業務の経験があるのは、メーカーからエンドユーザーまでの中でユアサ商事だけだった。自然と日野が輸出担当ということになった。上司が輸出業務に詳しかったので、連日夜中まで必要な書類や手続きについて教わった。初の海外案件で気合が入った。

⇒〈その3〉へ続く

 


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