商社の仕事人(43)その6

2018年01月27日

ユアサ商事 日野雄介

 

工作機械ビジネスの

新しいあり方を開拓する

 

 

事業主として海外で活躍する日を思い描く

この上司の下で、日々多くのことを日野は学んでいる。ユアサ商事の中でも際立った実績を上げている〝スーパー営業担当〟なのだ。

「取引先から問い合わせがあると、私なら誰かに聞いてから返事をするようなこともその場ですぐ返せるぐらいの情報量を持っています。今は非常にいい環境に置いてもらっていますが、その分きつい。今日の仕事は今日中にやれ、明日はまた新しい仕事が来るから残すともっと厳しくなる、終わらないなら寝ないでやれ、と言われます。家に帰る時間が一気に遅くなりました(笑)」

メーカーの見積もりをそのまま顧客に出すのでは、間に入る意味がない。間違いがもしあれば直して提出し、高いと思ったらすぐに指摘せよ。製品を作っていない商社は、見積書しか商品がない。万一、一桁間違えた見積もりを出したら、それで買うと言われても文句は言えないではないか。

日野は上司からこのように教わっている。見積書を作成したら、一行一行、どういう意味があってこの内容になっているのかを毎回説明しなければならない。

商社の営業は見積もりが命。

この言葉を日野は肝に銘じている。

初めて海外出張を経験して、次は海外駐在をしたいと日野は希望している。

「今、会社もグローバル展開に積極的で、若手社員に経験を積ませようとしています。学生のときには、社長になりたいという夢を持っていました。海外で新しい拠点を立ち上げれば、一事業主のような仕事が求められるということを、入社してから知りました。社内で自分の夢をかなえることもできるわけです

最近は台湾などの工作機械メーカーもかなり技術力をつけています。海外のユーザーには台湾製の方が、日本メーカーの製品よりもはるかに安く提供できます。アフターサービスの機能を持っている拠点もすでにありますが、もし、日本メーカーだけでなく海外メーカー製品にも対応したアフターサービスの部隊をユアサ商事が持てば、さらにエンドユーザーに喜んでもらえます。もちろん私が個人でできることではありませんが、大きな強みになるはずです」

日本メーカーのアフターサービスの速さと質の高さは定評がある。その技術力をユアサ商事が海外メーカーに代わって提供するというアイデアである。

入社5年目にして、すでに日野の視線は目の前の取引のみならず、新しいビジネスモデルの構築へと向かっている。だが今しばらくは、スーパー上司のもとで力を蓄える日々が続きそうだ。

 

学生へのメッセージ

「学生時代には海外旅行も結構して、いろんな人と会うのが好きでした。オーストラリアに5か月ほど滞在したときは、友達同士を紹介する立場になり、いつのまにか外国人の友達が周りに集まっていました。会社の中で研究だけをするような仕事は、やはり向いていなかったのだと思います。就職活動では自分に正直になろうというのが、私の経験から得た教訓です。包み隠さず自分を出して、それで縁がなければ自分と合わなかったと思えばいいのです。無理をして入社しても、必ずミスマッチが生まれます。それに人事担当は人を見極めるプロだから、ごまかしてもすぐ分かります。自分に素直になってください。そうすれば、周りがいいゴールへと導いてくれるはずです」

 

日野雄介(ひの・ゆうすけ)

【略歴】
1984年生まれ。千葉県出身。日本大学理工学部機械工学科卒。2008年入社。大学時代の専攻が機械工学だったのでエンジニアをめざしたが、就職活動の途中で「なにか違うな」と思い始めた。ある企業で「うちの営業を受けてみたら」と言われたのがきっかけで、機械関係に強い商社にも目を向けるようになった。

 

『商社』2014年度版より転載。記事内容は2012年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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