岡谷鋼機 斎藤 雅
顧客と仕入先の両方に食い込み、
世界の製造業に貢献
初受注した案件で苦労する
入社1年目はまだ機械の知識もなく、ラインで何が作られているのかもよく分からない。とにかく工場に入り、機械が動く様子と図面を見比べる。岡谷鋼機の上司や先輩はもちろん、メーカーやクライアントの担当者にも質問し、疑問を1つひとつ解決していくことしかできなかった。
それでも1年目の終わり頃に最初の契約を交わすことができた。自動車工場内のエンジン部品の搬送装置である。
「やっと初受注か」
新人営業担当としては、ほっと一安心するところである。
「私の実力で受注したというよりは、『岡谷鋼機』という看板あっての契約獲得でした。しかし、よく分からないまま受注した案件は、後で苦労することも多いのです」
斎藤の初受注もこのケースに陥った。
工程表通りに製作が進捗しない。設計ミスを指摘される。そんなことを繰り返すうちに、納期に間に合わない恐れが出てきた。装置の搬入予定日は、製品製作予定、つまり新商品の発売予定に基いて計画されており、納入遅れは絶対に許されない。
「どうしてくれるんだ。必ず納期を挽回し、毎日その進捗を報告せよ」
クライアントの担当者も当然強く迫ってくる。
「結局は、メーカーの実力、負荷状況等を把握しないまま仕事を任せてしまったんです。安い見積もりを出したら、偶然受注できたことに気づきました。また、製作現場の状況を理解できておらず、メーカーにもなんとか間に合わせてくださいぐらいしか言えませんでした」
最終的に要求された性能を満たす装置を納期内に納入でき、この出来事がその後の斎藤の営業の基本姿勢を作るきっかけとなった。
⇒〈その3〉へ続く