商社の仕事人(44)その3

2018年02月7日

岡谷鋼機 斎藤 雅

 

顧客と仕入先の両方に食い込み、

世界の製造業に貢献

 

 

右から左に流すだけの商社なら、いらないよ

「一声かければなんでもやってくれる。そんな商社が重宝されます」

斎藤が抱えるクライアントは15社程度で、それに対しメーカーは100社近くある。メーカーそれぞれに得意分野があり、1つのラインの中には複数のメーカーの機械が入る。商談毎にクライアントのニーズを聞き取り、適切なメーカーと機種を提案していく。

引き合いが来たら内容をそのままメーカーに伝え、メーカーから来た見積もりに自社の管理費を乗せて、ただクライアントに渡す。そんな商社は、取引先へ自らの存在価値を発揮できない。

「右から左に渡すなら、ただマージンを取るだけじゃないか。メッセンジャーだったらいらないよ」

あるとき斎藤も、クライアントから直接こう言われたことがあった。

「仮に大きな機械の商権を持っていても、それに安住して何もしないと、こいつは役に立たないと思われます。一度嫌われると、どんな安い見積もりを出しても仕事は取れません。いつのまにか情報が他社に流れ、商談から外されて終わりです。

逆に、工程改善や時には新規メーカーを紹介して最適ラインの提案を積極的に行う商社は、クライアントからの信頼を得やすいものです。

クライアントが困ったときにどこに声をかけるか。それが岡谷鋼機となれば、こちらも仕事がしやすくなります。クライアントそれぞれの考え方や好みもあり、その思いを汲んだ提案をする、日頃の情報収集と現場訪問が重要な要素です」

2年目からはこうした勘どころがつかめるようになり、クライアントとの関係も良好になりはじめた。

⇒〈その4〉へ続く

 


関連するニュース

商社 2024年度版「好評発売中!!」

商社 2024年度版
インタビュー インターン

兼松

トラスコ中山

ユアサ商事

体験