岡谷鋼機 斎藤 雅
顧客と仕入先の両方に食い込み、
世界の製造業に貢献
右から左に流すだけの商社なら、いらないよ
「一声かければなんでもやってくれる。そんな商社が重宝されます」
斎藤が抱えるクライアントは15社程度で、それに対しメーカーは100社近くある。メーカーそれぞれに得意分野があり、1つのラインの中には複数のメーカーの機械が入る。商談毎にクライアントのニーズを聞き取り、適切なメーカーと機種を提案していく。
引き合いが来たら内容をそのままメーカーに伝え、メーカーから来た見積もりに自社の管理費を乗せて、ただクライアントに渡す。そんな商社は、取引先へ自らの存在価値を発揮できない。
「右から左に渡すなら、ただマージンを取るだけじゃないか。メッセンジャーだったらいらないよ」
あるとき斎藤も、クライアントから直接こう言われたことがあった。
「仮に大きな機械の商権を持っていても、それに安住して何もしないと、こいつは役に立たないと思われます。一度嫌われると、どんな安い見積もりを出しても仕事は取れません。いつのまにか情報が他社に流れ、商談から外されて終わりです。
逆に、工程改善や時には新規メーカーを紹介して最適ラインの提案を積極的に行う商社は、クライアントからの信頼を得やすいものです。
クライアントが困ったときにどこに声をかけるか。それが岡谷鋼機となれば、こちらも仕事がしやすくなります。クライアントそれぞれの考え方や好みもあり、その思いを汲んだ提案をする、日頃の情報収集と現場訪問が重要な要素です」
2年目からはこうした勘どころがつかめるようになり、クライアントとの関係も良好になりはじめた。
⇒〈その4〉へ続く