阪和興業 村田勝彦
人が見過ごすところに
商機を見つけ、
世界を相手に実現させていく
仕入先の社長が新規開拓を手伝ってくれた
村田が本当に営業のおもしろさに目覚めたのは、入社して3年目に入った頃からだ。
商材の知識がついてきたこともあるが、相手の話をよく聞いて、頼まれたことにはきちんと応えることが信頼関係につながり、更には商売につながっていくと分かってきた。
「相手はオーナー社長さんで、私は出入りの若い営業担当ということもあって、よく飲みに連れていってもらいました。甲子園で野球を見たり、通天閣の下で焼き鳥を食べたり楽しかったですね。ただ単に世間話をしているだけでしたが、それで人間関係もできていったと思います。しかし、そんなことよりも、経営の悩みごとや判断について語り始めたときに真剣に耳を傾けたり、これなんとかならへんかと言われて、なんとかしようと一生懸命に動いたりしたことが、その後の本当の意味での信頼につながったんだなと感じるようになりました」
すると社長の方からも村田に力を貸してくれるようになった。
「ここ、営業に行ってみたらどうや。絶対いけるで」
仕入れ先の社長がそう言って、販売先を紹介してくれる。価格交渉や納期設定にも力を貸してくれる。
その社長は売り込み先の会社のことを知っているし、何をどんな条件で欲しがっているかまでイメージできているのだ。このような新規案件は成約率が高かった。
売りも大事だが、商売の肝は仕入だ。「利は元にあり」と言われるように、いい仕入をすればいい提案ができて、絶対に売れる。村田はこう考えている。
「オーナー社長はしゃべりたがりだし、一面では寂しがり屋でもあります。だから基本的には聞き役になって、その中で相手が何を求めているのかを探ります。そして、タイミングを見計らって、自分の意見は言うようにしています。タイミングが見つからなくて、思っていたことが言えない日もありますが(笑)」
やがて「社長さんが、村田君は芯がしっかりしているなと言っていたぞ」という上司の声も耳に入ってくるようになった。言うべきことは言う、そうやってきて認められたほめ言葉だと村田は解釈した。
⇒〈その3〉へ続く