商社の仕事人(50)その1

2018年03月19日

日立ハイテクノロジーズ 和波直樹

 

営業の最前線こそ

“商社は人”を実感する戦いの場

 

 

【略歴】
和波直樹(わなみ・なおき)
1983年三重県出身。立命館大学国際関係学部卒。2005年入社。

 

ホムトフ? 夢のヨーロッパ生活はもう終わりか!

カフカが生まれた街、チェコの首都プラハから北西に約100キロ、ドイツとの国境からわずか15キロ程、エルツ山地の端にその街はある。古くて、静かで、小さな街・ホムトフだ。

入社3年目、海外業務研修生として日立ハイテクノロジーズヨーロッパ会社のミュンヘン支店に赴任した和波直樹は、その1か月後、名前を聞いたこともないその街に駐在していた。

「旅行気分というのは言い過ぎですが、夢のミュンヘン生活、ヨーロッパ生活を期待してわくわくしながらミュンヘン支店に来たのに、わずか1か月でその夢は破れました(笑)。ホムトフという街は、すごい田舎町。深夜近くになるとレストランは閉まり始めるので、残業で遅くなると、もうガソリンスタンドでパンしか食べられなくなるような所だったのです。自分から望んで来たわけでもなかったし、しかもアパートでの1人暮らしでしたから、正直言って大変なところにきてしまったと心細くなりました」

和波がホムトフに駐在することになったのは、ホムトフにある顧客のテレビメーカーが新しい工場を立ち上げるためであった。英語での通訳や材料の調達などの業務を手伝ってくれる人材がいないので、若い人を派遣してもらえないだろうか、という打診があったのである。上司が白羽の矢を立てたのが和波だった。

「そういうわけだから、とりあえず3か月間頑張ってみてくれ」

ミュンヘンでの海外生活を謳歌していた和波のホムトフ駐在は、この一言で始まった。その後駐在期間は半年延期される。和波はその間に「天国と地獄」を経験することになるとは思いもよらなかった。

⇒〈その2〉へ続く

 


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