商社の仕事人(50)その6

2018年03月24日

日立ハイテクノロジーズ 和波直樹

 

営業の最前線こそ

“商社は人”を実感する戦いの場

 

 

勉強会を主宰し、「人」に磨きを掛ける

東京に転勤になってからの和波は当初、スマートフォン用の特殊材料を中国の顧客に販売する仕事についていた。月の半分くらいは中国に滞在し、ビジネスの最前線に出て売り込み、折衝を行っていた。しかし、現在は後方支援やビジネスヘッドオフィスとしての役割に専念している。

和波は、今後のビジネスについてこう語る。

「非常に変化が激しい業界ですから、1年間かけてようやくある程度の規模までビジネスを拡大することができたとしても、それがあと半年続くかどうかは全く保証がありません。ですから、常に国内外にアンテナを張り、技術動向の調査、新技術・商材を発掘し、ビジネスの拡大の拡大を図って行かなければなりません。また、商材を仲介する商売だけでは企業が生き残っていくのも難しいかもしれません。今後は投資を前提とした商売を創っていかなければと思っています」

とは言え、「商社はあくまでも人ですし、人に魅力がなければ、商売は長続きしない」という和波の信念にはいささかの揺るぎもない。

和波は今、自分たちで勉強会を主宰している。自分たちの価値観を変えることと、大きな仕事に挑むための仲間作りをするためだ。近々のテーマというよりも、10年先、20年先を見据えて社内横断的に組織している。2週間に1回くらいの割合で開催し、毎回、参加者の1人か2人が何かをテーマに説明し、議論するというものである。

「テーマは全く決めていません。勉強会の目的が自分の実力、人としての魅力、チームワークの3つを磨くことですから、それに沿ったものであれば何でもいいんです。勉強会そのものが不特定多数の人を呼んで、かっこよく説明するようなものではありませんが、これからは自分たちで自分自身を鍛えていかないといけないので、少しずつ参加者を増やしていきたいと思っています」

和波は、日立ハイテクノロジーズを「しっかりと地に足を付けている会社」だと評している。和波自身もその人間力を武器に、一歩一歩力強く前進している。そしてその歩みが止まることは、今のところない。

 

学生へのメッセージ

「私は、世界を颯爽と渡り歩いて、ビジネスを創っていくような仕事をしたいと思っていたので、最初から商社志望でした。日立ハイテクノロジーズに決めたのは、海外の拠点数も多く、グローバルな仕事をしているという印象が強かったからです。また他の商社に比べて地に足が付いている感じもしました。商社には色々新しいことに挑戦できる土壌があります。自分が信じることを全力でできる人、突っ走れる人、さらには先輩を脅かすぐらい刺激的な人と一緒に仕事をしたいと思っています」

 

和波直樹(わなみ・なおき)

1983年三重県出身。立命館大学国際関係学部卒。2005年入社。学生時代は、冒険と称して、友人と2人でバックパックを背負って中国やタイ、ベトナム、ラオスなどアジアの地域によく出かけた。その旅行を通して、いろいろな国の人と偏見を持たずに接し、話をするのが好きになる。

 

『商社』2014年度版より転載。記事内容は2012年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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