商社の仕事人(52)その5

2018年04月20日

トラスコ中山 松井 周

 

次代の商流を創り、

会社の強みを売る

 

 

エンドユーザーが当社の取扱い商品を知らなかった

このマイナスの1年間の後で、松井は現在所属する広島支店に移った。入社5年目になっていた。この年は会社にとってもひとつの節目だった。ワーカーズ事業をファクトリー事業と統合し、ホームセンター事業の営業展開もファクトリー事業の商品の取り扱いを重視するようになった。ホームセンターにスーパーやディスカウントストアなど他の業態の小売店と差別化を図ってもらうために、プロ仕様のツールを扱う比率を徹底的に増やすことが、トラスコ中山ができる最大のサービスである。

広島支店に来て、松井は初めてファクトリー事業の営業も担当した。するともっと売れるはずの商品があまり売れていないことに気がついた。しばらくしてその理由がわかってきた。

「1週間前に納入業者様に新しく販売した商品が、そのまま置いてあることも珍しくありませんでした。当社の商品情報がエンドユーザー様に届いていなかったんです。商品を知らないから当然エンドユーザー様からの発注はありません。小規模の納入業者様は営業も配達も全部一人でこなすので、忙しくて新規商品のPRまで手が回らないのはよく分かります。でもそれを、しょうがないと言っていたらいつまでもこの状態は変わらない。トラスコ中山は、eビジネスを始めることなどでその方向性を変えようとしているのだと思います」

変えなくてはいけないと、松井も思った。情報がないなら聞きに行けばいい。そこからエンドユーザー通いが始まった。

「聞くと見るとでは大違いでした。ネットでの発注の環境を整えても、実際に商品を使っている現場の社員の方は誰も発注の端末に触ったことがありませんでした。いくらeビジネスのしくみが優れていても、現場では使われていなかったのです。ならば現場の社員の方たちに、便利だから一度使ってみてくださいと提案していくことが必要です。エンドユーザー様のニーズも的確に汲み取ることで空中戦においても成果を残すことができる。そういう地上戦(ここでは今までのように人を介して商売を行うことをいう)と空中戦とを両方やる必要があると、現場に行ってみて初めて気づきました」

⇒〈その6〉へ続く

 


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