商社の仕事人(53)その1

2018年04月23日

ユアサ商事 川原 正

 

ゼロからの

海外市場開拓に挑む

 

 

【略歴】
川原 正(かわはら・ただし)
1978年鹿児島県生まれ。駒澤大学文学部社会学科卒。2002年ユアサ商事に入社。

 

建材を初めて中国市場に売り込む

入社10年目の2011年4月、それまで国内の現場を走り回っていた川原正は、初めて海外事業を任された。ユアサ商事の建材本部が中国市場に展開するために、顧客を見つけ、販路をゼロから開拓するのである。

ユアサ商事の建材部門は道路や公園、建物廻りに使う外構資材とビルやマンション向けの金属建材、外装資材を主に扱っている。これらの製品の取扱量は国内トップクラスで、特に外構資材に関しては川原曰く「間違いなく国内No.1」なのだそうだ。

「その理由は外構資材のプロ集団であるからです。コンペティターである鉄の専門商社はフェンスやガードレールなどの鉄鋼製品の取り扱いは有りますが、住宅用カーポートなどのアルミ製建材や鉄以外の資材の取り扱いは不得意です。また伝票が通っているだけの手数料商売が多く顧客への商品提案力や業界知識に乏しい場合が多いです。一方では地場の卸売業者が全国各地にいますが、住宅用カーポートなどのアルミ製建材に特化している会社が多く、鉄鋼製品や土木資材の取り扱いはできません。ユアサ商事は国内トップメーカーを中心に非常に幅広い取り扱いが有ることと、業界知識や商品知識が豊富で顧客に必要な情報を提供し問題を解決するコンサルティング能力が有ります。ニッチな業界ですが、そこに特化したプロ集団であること、それが大きな強みです」

このように日本国内では競争力があるが、建材部門の海外取引はまだまだ少ない。現在欧州向けの取引があるだけで、中国向けの取引実績は殆ど無い。中国にあるユアサの現地法人も、製造業者向けの工作機械類の販売が取扱いの大半を占めており建材担当の駐在員はいない。現在、川原は全くゼロから中国市場の開拓に挑戦中なのだ。毎月中国へ出張しては、市場調査をし、商売の糸口を模索している。

「中国ローカルの顧客相手にものを売り込むのは、リスクが多いため、社内でもあまり例がありません。現在、欧州向けには日本製のカーポートを輸出していますが、この様な細かい建材を大手商社は扱えない、この業界に特化するユアサだからできる商売です。同じようにして、当社しか売れない商材や顧客層が中国市場でも必ず見つかるはずです。勝負の分かれ目は、ユアサの強みを発揮できるかどうかです」

⇒〈その2〉へ続く

 


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