CBC 小畑大輔
「無限の領域」を
「自由な発想」で冒険する!
「仮説・実行・検証」はビジネスの基本
小畑が日本に帰国して3年近く経つ。入社以来、若くして海外の最前線での営業活動を行い、海外駐在により現地法人のマネージメントを行い、主要拠点となった海外製造工場のものづくりオペレーションを実践してきた小畑は、帰国後、製造から営業、顧客のすべての根幹に関わる製品の企画開発を行うことで、CBCの商社パースンとして全ジョブフローを現場で体験したことになる。これらはすべて小畑たちが入社した時点で大まかに用意されていた人材教育だと小畑は言う。
「時代の先を読み、人を育てる。特に若手に現場を任せて鍛えてあげるのがCBCスタイルです。今、私は、何を作って、誰が生産して、どこで売るのか。そういう戦略の第1歩のビジネスをやっています。これを徹底的に極めて、将来はディビジョンの戦略作りに関わりたいと思います」
商社パースンとしてのステップを1つひとつ上がってきた小畑。理系出身の小畑は、商社ビジネスは大学時代に学んだ研究プロセスとの相性が非常にいいと言う。
「商社はフィールドが決まっているようで決まっていません。自分で考えて自分で行動してビジネスを創造する必要があります。理系の場合も研究テーマは自分で考えます。まず仮説を立て、その仮説を証明するための実験方法を考え実験を行い、その実験データを分析して仮説を検証するのが研究プロセスです。商社の営業もまず自分で仮説を立てて、それを実行する方法を考えて、自分あるいは誰かに実行させる。そしてその結果を検証して、また次の仮説を立てる。理系の研究プロセスとまったく同じなんです」
柔軟な対応力と理系の研究プロセスを組み合わせることで、小畑は、あるときは世界の開発者の前で超スローカーブを交えたプレゼンを行い、あるときは上海の顧客の心を掴み、またあるときは北京の製造工場の生産を軌道に乗せてきたのである。
そんな小畑に最近うれしい知らせが届いた。それは中国で納入した大型監視システムを最新設備に更新するプロジェクトで、再びCBCの光学レンズが採用される見通しとなったというものだった。
「以前から始動していたプロジェクトですが、駐在時代の数多くの人脈にも協力を仰いで更新できたので喜びもひとしおです。あれから6年経ち、光学カメラはさらに複雑かつ高性能になっています。今後もこの商圏を守り続け、さらに中国に対応したビジネスを広げていってほしいと思います」
CBCの扱う光学レンズや光学カメラは、現在、監視カメラの枠を超え、無限の展開を見せている。例えば、宅配なども含め多彩な用途を考えられているドローンの搭載カメラ、マーケティングに使用する導線記録カメラ、存在している物質を特定するために物質が発する波長を拾うカメラ、さらにAIを使用した光学カメラで撮影したデータの情報解析まで入れると、その事業領域は小畑の想像をはるかに超えたとろまで、とめどなく拡大していく。しかも、それは、言うまでもなく全世界がマーケットだ。アイデア次第で、いかようにもビジネス展開が可能なのである。そんな中、小畑は、海外に駐在する社員や3000人いるCBCの現地従業員に期待するとともに、自らも新たなビジネスの開拓を加速させようとている。
「まだ自分の仕事には満足していません。これから本当に伸びていかないといけないのです」
CBCの〝不確かさ〟に魅せられた小畑は、無限に広がるフィールドで今も「科学をめぐる冒険ビジネス」を続けている。
学生へのメッセージ
「若手、中堅に関係なく、社員に任される裁量について言えば、CBCはかなり大きいほうだと思います。型に嵌めるのではなく、ある程度、自由に仕事をさせてくれる会社なので、そういう環境で仕事がしたいという学生の皆さんには、是非おすすめしたいです。ただし、あれもこれもしなければならず、けっこう大変かもしれませんが(笑)。就職活動については、私がそうだったのですが、あまり1つの業界、1つの企業に絞らずにいろいろ見たほうがいいと思います。〝理系だから〟〝文系だから〟というカテゴリーも決める必要はないと思いますよ」
小畑大輔(おばた・だいすけ)
1977年、神奈川県川崎市生まれ。東京理科大学理工学部卒。2000年入社。
『商社』2018年度版より転載。記事内容は2016年取材当時のもの。
写真:小倉直子