商社の仕事人(41)その8

2018年01月1日

長瀬産業 今村謙太

 

モノづくり大国・日本の

復権のために

 

 

長瀬産業ブランドの確立を目指す

東日本大震災以来、省エネがますます求められる昨今、パワーモジュールと呼ばれる消費電力を抑えるデバイスに世界中の注目が集まっている。現在、今村はそのパワーモジュールに使われる素材の営業と並行して、客先のメーカーの技術者と一緒により高性能なパワーモジュールの開発に携わっている。

「主に素材開発の部分に関わっているのですが、顧客の担当者から“今村くんはメーカーポジションで素材の営業をやっているだけに、もってくる技術的な情報の精度が非常に高い。おかげで次の製品を開発する上で非常に参考になるからとても助かる。やっぱり他の商社の営業とは全然違う”と言ってもらっています。こんなところにも長瀬産業の営業としてのプライドを感じますね」

すでに今村が開発に関わった製品が世の中に出始めている。売り上げが好調なものもいくつもある。

「実際に自分が関わった製品を手にしたときはまさに感無量ですね。仕事の目的が明確で自分の携わった仕事が目に見える形となる点が今の仕事の醍醐味であり、喜びであり、やりがいです」

元々海外で働くことを夢見て長瀬産業に入社した今村。しかし、開発の仕事に携わったことで新たな目標が見えてきた。

「数年前までは今すぐにでも海外の事業所に赴任したかったのですが、最近は考えが変わってきました。今や日本が技術で優位性を保っている分野はだんだん少なくなっていますが、現在私が関わっている電力制御デバイスの業界では、日本が圧倒的な技術力でリードしています。しかも、今後ますます伸びていく数少ない分野で、確実に日本の匠の技が求められます。そこで、メーカーと協力して世界で戦える製品を開発・販売し、アジアは勿論、欧米でも長瀬産業のブランドを確立していきたい。それが今の私の目標です。メーカー機能を持った商社だからこそ、達成出来ると確信しています」

一般的な仕事として考えれば、自ら開発に加わるよりも外国で売れ筋の商品を安く仕入れて国内外で高く売る方が容易だろう。しかし、今村は商社ポジションよりも、メーカーポジションでより厳しい世界に挑戦する道を選んだ。

ものづくり大国・ニッポンの復権を目指す今村の心意気は、必ずや長瀬産業の価値をも向上させるだろう。

 

学生へのメッセージ

「当社の魅力はなんといっても自由に働かせてくれる点です。例えば出張ひとつ取っても、稟議など不要で国内外問わず必要なときに必要な場所へ行けます。こんなに自由な会社はおそらくないと思いますね(笑)。また、早いうちから大きな仕事を任せてくれるので、一般的な商社よりも成長のスピードが早いと思います。社内の人間関係もよく、先輩後輩、上司部下関係なくみんなでよく飲みに行っています。会社の規模がそれほど大きくないので、非常にアットホームで和気あいあいとしています。私にとってはちょうどいい規模ですね。細かいことに縛られず、普通の商社では経験できない仕事がしてみたいと思う人にはぴったりの会社だと思います」

 

今村 謙太(いまむら・けんた)

【略歴】
1984年大阪府出身。関西学院大学理工学部卒。2007年入社。学生時代は勉学のかたわら旅行と歌に没頭。現在はナガセケムテックスの変性エポキシ樹脂営業部隊の一員として絶縁封止用途で変性エポキシ樹脂の新規開発および他社材の提案を行っている。

 

『商社』2015年度版より転載。記事内容は2013年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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