商社の仕事人(57)その7

2018年06月3日

三谷商事 阿部俊朗

 

35歳でM&A担当部長に就任。

「本社を超える子会社」を

海外に求める

 

事業開発部長に

2010年6月、阿部が35歳のとき、М&Aを専門とする事業開発部長兼務の辞令が下りた(2011年4月からМ&A専任)。入社前から希望していた新規事業開発や事業投資のプロジェクトを、自分の責任で切り盛りしていく社長直轄のポストに、ついに就いたことになる。

いま三谷商事は、建設資材、エネルギー、ITを柱に、国内での売上が99%以上を占めている。今後の課題は海外。三谷商事の潤沢な現預金を海外に投資することで、海外の売上比率を高めていくのが阿部の新しいミッションである。

入社以来さまざまな壁を乗り越えてきた阿部にとっても、М&Aの責任者となり初めて経験することは多い。これまではコンクリートという特定の業界・地域がフィールドだったのに対し、これからはあらゆる業界・地域がターゲットだ。しかもビジネスパートナーにしてもライバルにしても世界中にひしめいている。

「その分、よりスピーディーな判断を下さないとチャンスを逃してしまいます」と、阿部は語る。

阿部の現在の目標は、三谷商事本体の規模を超える子会社を海外に作ることだ。一見途方も無い夢のようにも聞こえるが、M&Aの世界では決して珍しい話ではない。

「うちの従業員数は本体だけだと現在約800人(連結では2000名)ですが、従業員数千人規模以上の海外企業に、M&A投資することが十分に可能な資金力はある。また現時点での資産価値は必ずしも高くなくても、買収後、その会社が持っているポテンシャルを引き出すことにより、資産価値を劇的に高めることもできるはずです。そういう会社を海外に作りたいですね」

M&Aに伴う無限の可能性とリスク。その両方を噛み締めながらの、阿部の挑戦は続く。

 

学生へのメッセージ

「就職活動では、新しい能力や技術を身につけるよりは、むしろ今持っている個性に磨きをかけたほうがいいと思います。三谷商事はやる気のある人間にとっては、とても居心地がよく力を発揮しやすい企業です。そんな若い人たちと一緒に仕事をしてみたいですね」

 

阿部俊朗(あべ・としろう)

1975年福井県生まれ。早稲田大学人間科学部卒。1999年三谷商事入社。2010年6月事業開発部長に昇進し、2011年4月からはM&Aの専任となる。190センチメートルを超える長身。高校時代はバスケットボールでインターハイ出場、全日本ジュニア選抜などの数々の実績を残し、競技から退いた今も、ゆくゆくは若者にバスケットボールの指導をしたいとの希望を持つ。

 

『商社』2013年度版より転載。記事内容は2011年取材当時のもの。
写真:葛西龍

 


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