商社の歴史(7)

2017年02月21日

「商社」の歴史は「近代日本経済」の歴史

みんなの商社

◆世界で台頭する強烈な存在感

海外における熾烈な資源獲得競争とともに、トレーディング分野においても、外国と日本を結ぶ伝統的な「二国間貿易」から、外国と外国の間を日本が仲介する「三国間貿易」にも総合商社は積極的に乗り出している。

たとえば丸紅は、米国穀物大手企業を完全子会社することで、穀物メジャーと呼ばれる世界大手企業と肩を並べることになった。これにより、米国から、穀物輸入量の膨大な中国、さらにアフリカ、中東へ貿易事業を拡大する。

このほか、鉄鋼分野では、鉄鋼メーカーから薄板などを納入し、ユーザーの要望に応じた加工を施す加工拠点、コイルセンターを積極的に海外展開してきたが、三菱商事と双日の鉄鋼部門から発足したメタルワンでは、ジャスト・イン・タイムの納入やユーザーの与信など、商社としての総合力により、収益を大幅に拡大している。また、機械分野でも、海外において国内メーカーのアフターサービスを行うだけではなく、世界のあらゆる機械メーカーを対象としたメンテナンスビジネスにも乗り出す財閥系商社もあり、逆風と呼ばれる分野でも、さまざまな儲け口を考えて突き進んでいる。

日本の輸出産業は円安の場合には恩恵を受けるが、商社は、円高、円安とどちらに振れても利益が出る仕組みを作り、効率的な利益重視のグローバル企業へと変貌しつつある。中国、インド、アフリカ、ブラジル、インドネシアやタイといったアセアン諸国などの新興国で、その存在感はますます強烈なものになっている。

 

◆トランプ大統領誕生後の世界

アメリカ合衆国に「アメリカ第一主義」を掲げる大統領が誕生した。その瞬間から、東証市場が大きな値動きを起こしたのは、世界経済が予測不能な状況に陥ったことを意味している。中国及びロシアと、今後、日本はどのように向き合い、商社はそこにどのような儲けを見つけていくのか。混沌の時代にこそ、商社が高らかに誇ってきた人材力が試されることになる。

 

(終)


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