商社の歴史(4)

2017年02月9日

「商社」の歴史は「近代日本経済」の歴史

みんなの商社

◆オイル・ショック

日本が高度成長を遂げているとき、アメリカではドルの力が目に見えて下落していた。昭和46年8月、アメリカの大統領ニクソンは、ドルと金の交換の一時的な停止や輸入課徴金の実施などを柱とするドル防衛策(ドル・ショック)を発表した。東証のダウ株価は大暴落し、東京外国為替市場ではドル売りが殺到した。

企業の余剰資金は行き場を求めて土地や株に殺到し、地価の暴騰を招く結果となった。また株式の短期売買益で莫大な利益を手にする企業も現れた。商社が土地や株式に積極的に関わるようになったのも、この時がひとつの契機であった。

さらに昭和48年10月、メジャーによる原油価格30%引上げを契機として、供給量の10%削減など、いわゆる石油危機(オイル・ショック)が発生した。

この年及び翌年の卸売物価指数は、それぞれ15.9%、31.3%の上昇と狂乱物価を招き、「買いだめ・売りおしみ」の風潮が広がり、消費者団体やマスコミから、その元凶として厳しい商社批判が起こることとなった。

それまでは、消費者と接点を持つことの少なかった商社にとって、このときの経験は、有形無形に、その後の事業活動の上で教訓として活かされている。

今日、積極的な川下展開をはかろうとする商社が多くなっている。その主要な理由は「商社冬の時代」といわれる低成長経済によるものだが、無意識な部分での、消費者との接点を求めようとすることの表れ、とも受け取れるかもしれない。

⇒〈5〉へ続く

 


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