商社の仕事人(20)その7

2017年05月28日

CBC 野澤大地

 

研ぎ澄まされた〝嗅覚〟で、

未来のビジネスを切り拓け!

 

 

未来と足元を見据えながら

2013年2月、重責を果たした野澤は日本へと帰国した。このムンバイでの4年半ほどの駐在期間を振り返り、野澤はこう語る。

「インドの人たちは、基本的に欧米志向で、欧米のルールに則って仕事をしようとします。でも、そうではなく、日本やほかの国々にもビジネスの芽がたくさんあることを、僕の仕事によって、みんなに伝えることができたのではないかと思います。いわゆる〝背中を見せた〟というやつですね(笑)。その反面、僕も大切なことをたくさん教わりました。現地法人を1人で立ち上げたということで経営感覚を実体験することができましたし、キャッシュフローや財務管理の重要性も身をもって知りました。また、文化の違いを超えた、ナショナルスタッフとの付き合い方なども学びました。自分自身が本当に成長できたと感じられる4年半だったと思います。こんな経験をした人間は他にはいないでしょう。ですから、初めての駐在先が欧米でなく、インドだったことに感謝しています。僕の決断は間違っていませんでした」

現在、野澤は自らが立ち上げたインドや中国からのジェネリック製薬の原薬や中間体の輸入などのほか、アメリカの業務推進役として、海外投資案件などにも携わっている。

「CBCの商材はバラエティに富んでいます。優れた商材が本当にたくさんありますが、〝今、何が、どこで〟求められているのかを考えないといけません。たとえばインドで家庭用製品を販売したことがあるんですが、重要な部材だけで30ドルする。現地企業が製造販売している同様の製品は機械本体を含めてわずか5ドルですから、先進国ならともかく、そんな高い製品がインドで売れるわけがない。良いものは必ず売れるとは限らないのです。ですから、今儲かるビジネスをしっかりと行っていくことが大切です。その今が連続していったその先にあるものこそが本当の未来なのだと思います」

初めての海外出張だったシカゴで、初めての駐在先だったムンバイで、ビジネスへの〝嗅覚〟を研ぎ澄まし、CBCパーソンとして鍛え上げられた野澤。その瞳は遠く未来を見つめながらも、両足はしっかりと大地を踏みしめている。

 

学生へのメッセージ

「僕がそうであったように、CBCでは若いうちからさまざまな経験ができることは間違いありません。とにかく海外に目を向けている会社なので、文系理系や性別などに関係なく、主体性があって海外に出て行ける人に適していると思います。自分のことを棚に上げて言わせていただければ、英語は是非ともやっておいてほしいですね(笑)。僕個人としては、繊細な考え方を持ち、ものづくりの精神に長けた日本企業の良さをこれから世界中で広めていけるような仕組みを、皆さんのような若い世代の人たちと一緒に構築していきたいと思います」

 

CBC 野澤大地(のざわ・だいち)

【略歴】
1980年東京生まれ。生産工学部卒。2003年入社。「Life Products Division Fine & Healthcare Department(原薬・中間体Group)」に所属。

 

『商社』2017年度版より転載。記事内容は2015年取材当時のもの。
取材/文:大坪サトル
写真:葛西龍

 


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