人事部発「学生たちに告ぐ!」

2021年02月13日

日鉄物産 人事部・人材開発課
土屋僚太郎さん(3)

商社は学生のどこを見て、何を感じて内定を出すのか――。
その疑問に答えるべく、日本を代表する商社の人事部採用担当者にご登場いただき、最近の学生像や求める人材について語ってもらった。

 

目的をしっかり見定め、等身大の自分のまま臨んでほしい

最後に私自身の体験を通してお話をしましょう。私が就活を本格的に始めたのは、大学3年生の秋。1年間のアメリカ留学で学年がずれた私は、一緒に就活をする友だちもあまりおらず、深く自分自身と向き合う時間がたっぷりありました。

実家は祖父から受け継いだ町工場を父が営んでおり、私がその家業を継ぐのかという話もあったんです。しかし実際にアルバイトとしてしばらくそこで働いてみて、自分がやりたいことと違うと分かりました。ものづくりの面白さ・難しさは体感できましたが、待ちの姿勢で受注生産を行うのでなく、自分から積極的に働きかけてビジネスを作っていきたい、世界を舞台に挑戦してみたい―。そんな気持ちから就職することを決め、日系、外資を問わずメーカー、コンサルティング、金融などさまざまな業界を見て回りました。そうしたなかで商社への志望が固まっていった理由は、次の三つです。

一つめは、世界が舞台となるようなビジネスがしたい。二つめは、自分の〝人間力〟を高められるような仕事に就きたい。そして三つめは、いずれは自分も経営に携われるようになってみたい。それには商売の一から十まで関われる環境で働く必要がある。そんな条件を満たす業界といえば、商社ではないか―との考えにいたりました。

そこから当社に注目したのは、「鉄鋼」事業を手がけていること。鉄はいわゆる「素材」ですから、商材そのものより自分自身の人間力がいっそう問われるのではないか、といった点にまず関心を惹かれたんです。また「鉄鋼」以外の「産機・インフラ」「繊維」「食糧」といった事業分野も、それぞれ自分のキャリアの可能性を大きく広げてくれる手応えが感じられました。そして入社を決意する上で大きな後押しとなったのが、冒頭でも触れた社員の個性、多様性という部分です。

こうした体験を踏まえて、私が採用活動を通じて学生のみなさんにお伝えしているのは次の二点です。

まず一つは、ありのままの姿、素の状態で就職活動に臨んでほしいということ。自分をよく見てもらおうと、どうしてもつい背伸びしてしまう気持ちはよく分かります。しかし本当の自分を相手に知ってもらった上で入社してこそ、お互いにとって一番幸せな結果につながるのではないでしょうか。ですから就職活動では決して自分をつくろわず、等身大のままで選考を受けてもらいたいと思っています。

そしてもう一つが、目的と手段を混同させないでほしということ。みなさんにとっての本当の目的は、人生を通じて成し遂げたいこと、生涯の夢といったことであるはずです。それに対して就活、あるいは就職は、それを達成するための手段の一つにすぎません。そこを混同してしまうと、やはりみなさんの将来にとって本末転倒な結果になるでしょう。あくまで就職は一つの手段だと捉えて、もっと先の人生のゴールで自分が何をしたいのか、もう一度しっかり考えてほしい。そうして自分のキャリアをきちんと見つめ直した上で当社を選んでくれるなら、ぜひ一緒に働いていきたいと思います。

 

土屋僚太郎(つちや・りょうたろう)

1994年、神奈川県生まれ。青山学院大学経済学部現代経済デザイン学科卒業。小学校1年の時からサッカーに没頭し、高校では学区外の強豪進学校へ進んだ。大学では一転してサッカー生活に終止符を打った後、海外への関心を募らせる。大学2年の時に1年休学し、アルバイトで貯めた資金でアメリカ・フロリダ州へ留学。

「4人のタイ人とルームシェアしていたおかげで、タイ料理が得意になりました(笑)」。留学を終えた後は、バッグパック旅行でアメリカを一周。またインドや東南アジアを回って見聞を深めた。「貧しい国を歩くと、生まれた環境の格差を痛感します。そんな体験から、世界のインフラを支えるような仕事にも関心を持つようになりました」

「就活のイベントなどで私は、学生のみなさんに『自分のキャリアについてしっかり考える』ことの大切さを強調しています。当社に来てほしいというメッセージを伝えるより、キャリアへの考えを深めてもらうほうが大事だと思っているからです」「就活もリモートになるなど、オンラインがすみずみまで普及している今は、情報があふれています。学生さんたちにはその情報を鵜呑みにせず、しっかり自分の頭で考えられるようになってほしい。就活にあたっての情報も、時には直接自分の足で取りいかなくてはいけない場合もあるでしょう。コロナ禍の厳しい環境下でみなさんは本当に大変だと思いますが、この環境でさえもやれることはたくさんあるはずです。環境を言い訳にし続けずに、精一杯頑張ってください。我々もみなさんと対面した時はできる限り有意義な時間にすべく、誠意をもって全力で接させていただきます」

 

取材:2020年9月

 


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