人事部発「学生たちに告ぐ!」

2021年03月5日

住友商事グローバルメタルズ
人材・総務グループ 採用・人材育成チーム 主任
菊池大輔さん
(2)

商社は学生のどこを見て、何を感じて内定を出すのか――。
その疑問に答えるべく、日本を代表する商社の人事部採用担当者にご登場いただき、最近の学生像や求める人材について語ってもらった。

 

競合他社を圧倒するキャリアビジョンの明確さ

こうした住友商事グループとの互恵関係は、配属リスクの点でも当社の大きな特徴となっています。そもそも扱う商材が明確な専門商社は、どの部署に行くか分からない総合商社に比べて、望まない部署に配属される配属リスクが低いのが一般的です。しかし、その中でも「営業を希望していたのに入社したらコーポレート部門に配属された」、「確かに営業部配属を希望していたが全く関心のない分野だった」、という例も実際には少なくないかと思います。一般的に、商社業界では新入社員のうち数割がコーポレート部門への配属となると認識しています。勿論コーポレートの仕事は非常に重要であり、私自身も希望してコーポレートに異動した身ではありますが、〝商社で働くなら営業をやりたい〟と考えている学生さんは非常に多いと感じています。当社は住友商事やグループ会社との密接な連携により、コーポレート部門がコンパクトにまとまっています。例えば、物流、保険、営業経理の機能の一部をグループ会社に委託したり、住友商事のコーポレート部門と提携したりしています。そのため10名入社したうち、コーポレート部門に配属されるのは1人いるかいないか。ほかは原則営業部門に配属されます。

またこれに加えて、海外比率の高さもぜひ知っておいてほしい部分です。例えば海外営業と国内営業のそれぞれに携われる割合が、半々の会社があったとしましょう。すると10名入って2〜3名がコーポレート部門、その残りの半分ですから、初期配属で海外営業に関われるのは4人弱。それに対して当社は営業9人のうち、8人ほどが海外ビジネスを任されます。さらに当社はコーポレート部門に配属された人、国内ビジネスを任された人も、いずれは必ず海外の仕事をやるというローテーションの仕組みもあります。実際、私の同期も5年目までに全員が海外営業を経験しています。こうした点で、とりわけ今後伸びていく海外の市場を捉えて仕事をしていきたいという軸を持っている人には、環境がよく整っている会社だということができます。

 

豊富な海外経験のチャンスと充実した研修制度

「鉄」は言うまでもなくグローバル商材です。先進諸国のみならず、新興国経済の急速な発展に伴い、インフラ整備をはじめ、自動車産業、家電などの鉄鋼需要も伸長しており、鉄鋼市場は世界的に拡大を続けています。

当社の社員の取引の約9割が海外に関わり、常時、基幹職社員の3割ほどが海外において勤務しています。基幹職の新入社員でも海外担当であれば1年目の終わりからごろから海外出張を経験する場合がほとんどです。また、基幹職は入社10年以内にほぼ全員が海外赴任経験を積むことができる制度も整備しています。海外志向が高く、海外と関わるビジネスにチャレンジしたいという皆さんには、この上なく理想的な環境だと言えます。

当社には全世界に事業拠点が100近くあり、その現地へ赴いて経営を担う人材が欠かせません。経営者になりたいという志望を持って入社してくる社員も多く、そうした彼らは海外事業拠点の経営を目指して奮闘することになります。

もちろん研修制度も、さまざまな形で充実を図っています。コロナ禍で新たな工夫を求められ続けていますが、人事部として常に最善を尽くしているのはいうまでもありません。

まず入社後1年間は、先輩社員からマンツーマンでの指導を受けつつ仕事を進め、案件の受注から代金の回収まで、自ら責任をもって行うことができます。商社という企業で働く以上、顧客の現場まで深く入り込むような仕事、あえて言えば泥臭い仕事もあるかもしれませんが、そうした経験が商社パーソンとしての基盤を作っていきます。そこでの対応力如何によって、顧客とのより強固な信頼関係が構築され、新たなビジネスを生み出すこともあります。これは皆さんの人間として、社会人キャリアの幅を広げるチャンスでもあります。

2020年度からは新入社員向けの新しい取り組みとして、鉄鋼メーカーから技術者の方を招いて鉄の基本的な知識や鉄これからの鋼事業の課題をレクチャーしてもらう研修を導入しています。またOJTのフォローアップとして、指導員と新人が2人1組でペアワークを行う研修も今回から初めて実施しました。指導員は指導員だけ、新人は新人だけで研修を行うことが大半を占めていると思いますが、これは人事からのアプローチを通して、現場できちんと指導員と新人が互いに意思の疎通を図れるよう促すことが狙いです。さらに当社の特徴として入社から1か月半ほど、人事が新人を預かって集中的に研修を行う仕組みもあります。それぞれの部署に配属された新人を1か所に集めて、同じ釜の飯を食うではないですが、同期がともに切磋琢磨する場を設けるわけです。

こうした新人研修とともに、皆さんの成長を支える人材育成システムも十分に備わっています。新入社員として、基幹職として、マネージャークラスとして、皆さんの年次や役職に応じた5段階の階層別セミナーを用意しています。また、住友商事グループ全体の研修制度である住商ビジネスカレッジではビジネスパーソンとしての基礎力を標準装備することができます。加えて、当社は鉄鋼専門商社としての専門性を高めていくため、現場主導型のプログラムも多彩です。たとえば金属ビジネスに精通した鉄鋼商社パーソンを育成するために行う「金属事業研修」があります。他には、世界の隅々にまでビジネス展開する当社の社員らしく英語以外の特殊言語を習得するための「語学研修」、将来の海外駐在員予備軍や事業経営要員の育成を目的として住友商事の海外店舗や当社の海外事業会社に研修生として派遣し現場での経験を積む「トレーニー制度」があります。ただ「鉄を売る」だけでなく「鉄を使う」ことに視点を置き、新たな金属ビジネスを考案する「次世代ビジネス創出プロジェクト」や事業投資のイロハを学ぶ「事業投資研修」などの研修を住友商事と合同で実施しています。なお、次世代ビジネス創出プロジェクトで優秀と評価されたビジネスプランは、研修の域を出て、実際に実現可否を社内で検討します。そのため、若手社員の考えたビジネスプランが金属の未来を創っていくといっても過言ではありません。

 

異業種で1年の海外勤務を体験するグローバルインターンシップ制度

さらに、住友商事グローバルメタルズ独自の育成システムとして、とりわけ海外志向の強い若手社員に向けた「グローバルインターンシップ制度」があります。これは主に新興国において、鉄鋼ビジネスとは全く関係のない異業種のローカル企業でインターンシップ生として一年間の就業を体験するというものです。住友商事グローバルメタルズという名前がまったく通用せず、周囲に自分のことを知っている人がまったくいない環境で仕事をしてもらいます。あらゆる環境に順応し、その中で自らを主張し、何かを創出していくことで、商社パーソンとしての人間力やグローバルマインドを磨くことを目的とした、一種の「武者修行」といえるユニークな研修制度です。2013年からスタートしたこの制度では、これまで西アフリカのガーナ共和国にある食品会社で栄養補助食品のマーケティングを行ったり、東アフリカのタンザニア連合共和国の政府で秘書業務を行ったり、タイの首都バンコクにある広告代理店で営業を行ったりしています。

同制度では、住友商事の別営業部門に出向して、金属以外のビジネスに携わる経験をしてもらうこともあります。直近では、7年目でモロッコに派遣された女性の基幹職の例がそうです。彼女が携わったのは、住友商事によるモロッコの工業団地に関する経済特区の販売支援事業。異国の地で何の知識もなかった不動産関連の業務に取り組み、モロッコ政府との調印に貢献しました。現地で外せない存在となったために帰国を引きとめられ、当初1年の滞在予定が2年に延びるという異例の成果を挙げています。

このほか、「事業会社派遣要員養成講座」も当社独自の研修です。これは、国内外の事業会社に派遣される社員が、人事、経理、法務などの専門知識・スキルを社内講師から学ぶという研修です。講師は専門知識だけでなく、事業会社でのマネジメント経験も持っており、実際に直面した課題は何か、その際にどのような判断を下し、いかにして乗り越えたのかという実体験を直接学びます。そして、最終日には社長自らが講師となり、より一段高い経営者としての視点を養います。

このように当社の主な研修だけでも多種多様に揃っており、まさに「充実」という言葉がふさわしいほどのラインナップとなっていますが、その研修におけるコンセプトは二つあります。まず一つは鉄鋼商社パーソンとして海外の商習慣や文化に精通し、グローバルにビジネスを立ち上げる現場ビジネス力に長けた「金属のプロフェッショナル集団」の養成、そしてもう一つは「経営人材」の育成です。国内外に約100社の事業拠点を持つ住友商事グローバルメタルズですが、これらの会社の経営管理、発展に当社が強く関わっています。そのため、将来の経営人材候補の採用と育成は当社にとって、至上命題となっています。

⇒その

 


関連するニュース

商社 2024年度版「好評発売中!!」

商社 2024年度版
インタビュー インターン

兼松

トラスコ中山

ユアサ商事

体験