岡谷鋼機
人事総務本部 人材開発室
入江和宏さん(5)
商社は学生のどこを見て、何を感じて内定を出すのか――。
その疑問に答えるべく、日本を代表する商社の人事部採用担当者にご登場いただき、最近の学生像や求める人材について語ってもらった。今回は、創業350年、鉄鋼と機械の「グローバル調達パートナー」として有名な「岡谷鋼機」の採用担当・入江和宏さんだ。
それでは当社の新卒採用活動について説明します。2019年度より、新卒採用では当社社内で開催していた総合職向け説明会を取り止め、すべてウェブセミナーに切り換えています。業界や会社についてはウェブで知っていただき、新たに社員座談会を設けることで、社員とより踏み込んで話せる機会を充実させていきました。このことによって、商社および当社について高い意識と興味を持つ学生がリアルの場に集まってくれるようになったと分析しています。また、このシステムの利点は、セミナーを何度も繰り返し見ることができること。ウェブセミナーを導入して以降、選考が進むごとに当社への理解度が深まり、面接等での発言にも深みが増す学生が増えている傾向が見てとれます。ウェブという形式のセミナーの、良い効果が現れていると感じています。また、大都市以外の大学の学生のエントリーが増えたことも、大きな変化のひとつです。
採用活動に際しては、学生と会社が互いによく知り合うなかで相手を選ぶことができるよう配慮しています。スケジュールの詳細についてはエントリーしていただいた方にメールでご案内します。ウェブセミナーを見てアンケートを提出すれば、エントリーシートの提出が可能となります。社員懇談会への参加は任意ですが、全国で20回以上開催しました。当社からは入社3年目から10年目を少し超えるくらいまでの若手社員から中堅社員が2、3人、学生の間を回って自由に話をしてもらいます。社員は仕事の実際や日々思うことを正直に話し、学生からも活発に質問が飛んできます。採用担当は横にいて見ているだけという時間が多く、ほぼフリートークといえます。時間は1時間半から2時間程度で、学生の参加者は多い回で40名程度でした。当社を志望される方は、この社員懇談会にはぜひ参加していただきたいと思います。
また、商社ビジネス体感セミナーも開催しています。商社全体というよりも、岡谷鋼機としてのビジネスを体感するセミナーで、当社の営業社員からヒアリングした内容でゲームを作成しました。鉄鋼を題材とし、様々なお客様と交渉しながら有益な情報を引き出し、ビジネスを成立させていくというもので、参加者からはリアルな仕事の内容を理解できたと好評でした。
続いてウェブテストによる選考の後、グループディスカッションや面接を複数回経て内定者を決定しました。ウェブテストの内容は言語と計数、行動特性検査です。
グループディスカッションは、あるテーマについて全員で話し合い、結論をまとめて発表してもらいます。グループの中で意見を交わしたりまとめたりしていくなかで、その人らしさや良い面が出てくることを期待しています。実際のビジネスの局面でも、集団討議の場で、ものごとをよく考えて意見をしっかり発言することが求められます。自分が発言するだけでなく、周囲の人の話をきちんと聞いて理解し、全体の議論の流れを見る能力も必要です。相手が伝えたいことを汲みとった上で、自分の考えを論理的に伝えられるコミュニケーション力が求められます。
⇒その6「岡谷鋼機の面接」
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