伊藤忠丸紅鉄鋼
人事総務部 人事企画チーム
奥町遼太郎さん(2)
商社は学生のどこを見て、何を感じて内定を出すのか――。
その疑問に答えるべく、日本を代表する商社の人事部採用担当者にご登場いただき、最近の学生像や求める人材について語ってもらった。
それでは、ここからは2021年入社(本年度)の新卒採用についてご説明いたします。ご存じのように本年度は感染症対策のため、昨年までの採用広報活動とは異なる内容となりました。3月1日からWEB上でエントリーの受付を開始したのは例年同様ですが、対面のセミナーは実施することなく、ウェブ上での合同説明会や現場社員が登壇するパネルディスカッション形式のセミナーなどに出展し、それらを当社の採用サイト上のマイページでアーカイブとして公開しました。また、「質問箱」というコンテンツも用意し、毎週2回、お寄せいただいた質問にお答えしました。これらはいつでもどこからでもアクセスが可能で、様々な制約がある中でも、たいへん好評をいただきました。またコロナ禍でも当社社員との一対一での会話を通して、できるだけ多くの皆さんにMISIの社員と接点を持っていただこうという想いから、ウェブ上でも社員に訪問を頂けるようOB・OG訪問のプラットフォームを導入しました。
こうした広報活動を通じて、皆さんには、マイページ上でのエントリーシートの提出とテストセンターでの筆記試験(SPI)の受検、大学成績表の提出をもって本エントリーとさせていただきました。募集職種は「Business Professional」の頭文字を取ったBPグループ(総合職)と、「Area Professional」の頭文字を取ったAPグループ(地域限定職)の2種類です。BPグループはいわゆる基幹業務を担当します。またAPグループは、本人の希望次第で事務・サポート業務だけでなく、将来的にBPグループの業務に取り組むことも可能です。いわば〝転勤のない総合職〟とも言える業務内容で将来的に課長までの就任も可能となるやりがいがある職種です。本年度は東京・名古屋・大阪で募集を行いました。
BPグループの本エントリーは3月と4月の2度あり、書類選考を通過した方を対象として自社セミナーを実施しました。現場社員との座談会もWEB会議システムを使用して実施しました。
続いて行った面接においてBPグループは一次と二次をWEB上で行い、最終面接は実際の対面形式で行いました。例年、一次面接はグループで行いますが、今年はWEB上でしたので、すべて20分ほどの個人面接での実施としました。面接では質問を通じて皆さんの行動や思考を掘り下げ、皆さんが持っている個性、つまり本質的な考え方や行動特性を知ることで、当社で活躍できるポテンシャルを持った方なのかを見定めさせていただきます。面接官との会話の糸口として、事前にエントリーシートで、二つの質問をさせていただきました。一つ目は「目標を達成するために変革を主導した、また自らが大きく変化した経験について教えてください」、二つ目は「他者との信頼関係を築く上で心がけていることは何ですか? 具体的なエピソードとともに教えてください」、というものです。昨年までは過去数年の採用コンセプトだった〝とめられない、この「○○力」〟の〝○○〟に自分の個性を当てはめるというものでしたので、質問は大きく変わりました。しかし、私たちが知りたいと考えているポイントはまったく変わりはありません。皆さんのありのままの姿や考え方を伝えていただき、それがMISIの求めるものと合致するかを知りたいと考えているのです。ただ、「ありのまま」の自分を伝えるといっても、それは何も準備しないで面接に臨むということではありません。一つの参考例として私の就活についてお話しします。
私の場合には、まず自分自身について振り返りました。その際、小学校から高校までは野球、大学ではラクロスをやっていたことから、スポーツというものを軸に据えて考えました。何か基準となるものがあるほうが振り返りやすいと考えたからです。私が取り組んできたスポーツはいずれもチーム競技でしたので、「どんなチームが理想的なのか」や「それに対して自分はどんなポジションでどんなアプローチをしたのか」などを自分なりに考え、次に体育会の同期やOB・OGに自己PRや自分の生き方についての考えを聞いてもらいました。その際に気を配ったのは、スポーツをやってこなかった人の視点から見て、スポーツで得た経験はどのように映るかということです。これはスポーツに限りませんが、自分の得意なジャンルや専門性の高い内容について語るとき、どうしても近視眼的だったり独善的だったりして、相手にきちんと伝わるかを考えない傾向があると思います。ほとんどの方は自分と同じスポーツの経験や専門用語を知らないので、いくら熱弁をふるっても自分の想いやありのままの自分が伝わるとは限りません。ですから、自分とバックグラウンドの異なる方に聞いてもらい、その意見に耳を傾けました。実際、ある社会人の方から「あなたの話はそのスポーツをしていた人にはリアリティがあるけど、果たしてスポーツをしていない人に伝わりますか」と言われたことがあります。チーム競技では様々な個性の選手が集って戦うわけですが、その中には一人で得点を上げるタレントタイプもいれば、他の選手と上手に関わりながら活躍するタイプもいます。私は後者だったので、それについて話したのですが、ラクロスというあまり一般的でないスポーツの専門用語を使っていたため、どうしても相手に伝わらなかったのです。そこで、自身を「他社の意図をくみ取りながら力を発揮するタイプ」と、一般的なビジネスシーンに置き換えて説明するように修正したところ、異なるバックグラウンドを持つ方にも伝わりやすく自身を表現できるようになりました。そして、そんな私の話について意気投合して話していただけたのがMISIの面接官の方たちでした。恐らくありのままの私とMISIのビジネス姿勢や人にやさしい社風との相性が良かったのだろうと思います。
また、もう一つ、MISIの面接で印象的な出来事がありました。それは二次面接後にフィードバックを受けた帰り際に「君の笑顔が良かった」と言われたことでした。瞬間的にはなぜ笑顔が評価されるのかピンときませんでしたが、海外駐在経験が長いその面接官の方によると、どんなに勉強しても言語の壁や文化の壁はあるが、それを乗り越えて同じ人間同士が付き合う第一歩が笑顔で話すことだというのです。笑顔への評価は自分でも意外だったので鮮明に記憶していますが、実際に社内で様々な人と関わっているとMISIには素敵な社員がたくさんおり、それぞれが自身の特徴を生かして仕事をしていることが分かります。ですから、まず自分が自分自身を知り、自分にはどんな芯があり、どのような場面で何を考えたか。それを振り返ってみてください。たとえ同じ環境で同じ経験をした人間であっても、そこから得る考えは異なるものだと思いますし、人間の成長という観点で見れば様々な方向性が出てくると思います。無理やり話を盛り上げる必要はなく、面接でありのままの自分の価値観を相手に分かりやすく伝えていただければいいと思います。
MISIは世界各国でビジネスをしており、それらを推進していくためには様々な力が必要です。皆さんが各自持っている個性、自信を持って語れる経験、その魅力は必ず社会人として活かすことができ、そしてMISIにはその個性、魅力を充分に発揮できるフィールドがあると自負しています。それはBPグループもAPグループも問いません。
そのAPグループは5月中旬にエントリーシートの締め切りを設定し、6月中旬から選考を行いました。このころになると感染の広がりも一段落したので、APグループの面接はすべて対面形式で行いました。そのプロセスはBPグループと概ね同様です。こうして、2021年入社の新卒採用は、BPグループは18名(女性は5名、理系1名)、APグループは11名が内定となりました。
また、MISIでは皆さんのキャリア教育と商社業界の紹介を目的とした「伊藤忠丸紅鉄鋼インターンシップ」を、2019年12月に東京で5回、大阪で2回の計7回開催しました。1DAY形式で、一回50名程度の方にご参加いただき、当社が実際に手がけた国際的プロジェクトを題材にしたグループワーク等を通して、商社ビジネスの醍醐味や商社パーソンとして必要不可欠な能力を感じ取っていだたきました。
以上が2021年入社の新卒採用プロセスです。今年は感染予防対策を考慮し、採用活動についても新たなアプローチを行いました。この経験をもとに、2022年入社を目指す皆さんに向けて、多角的に情報発信をしていきたいと思います。2022年入社の採用スケジュールについては現在策定中です。確定次第随時公開致します。インターンシップも状況を見つつではありますが、実施を検討しておりますので、まずは当社のホームページからマイページにご登録をお願いいたします。
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