ユアサ商事 人事部主任
松野萌子さん(2)
商社は学生のどこを見て、何を感じて内定を出すのか――。
その疑問に答えるべく、日本を代表する商社の人事部採用担当者にご登場いただき、最近の学生像や求める人材について語ってもらった。
大学新卒総合職の採用について
ではユアサ商事の総合職新入社員の採用活動について紹介します。ただし新型コロナウイルスの流行の影響で、今回の2021年4月採用は変則的な対応となりましたので、これまでの例年の採用と合わせて大まかな流れを説明します。今後は状況を見ながら臨機応変に対応する場合も出てくるので、当社の採用ホームページや就活ナビサイトで最新情報を確認していただけると幸いです。
まず採用活動に先駆けて行うインターンシップですが、例年は3年生の夏の時期に開始し、営業担当者に同行して顧客を訪問します。産業とくらしの両分野、卸と直販の現場を肌で感じることができるので大変好評です。また秋には屋上緑化を想定した1DAYインターンシップを実施します。配布した資料や模擬商談をする中からニーズを引き出し、最適と思える提案をします。短い時間ながらも実際のビジネスモデルに則ってユアサ商事の営業スタイルを知り、ゲーム感覚で楽しみながら提案活動を体験できるので、参加者には好評です。2020年の夏のインターンシップは、オンラインで開催し、1日目に学んだ環境分析などを通して当社の実際のお客様を想定した提案内容を検討するグループワークを行いました。グループごとに1週間から2週間ほどの期間で準備を進め、再びオンラインで集まり、成果を発表してもらいました。また今年は初めて理系向けのインターンシップもオンラインで行いました。営業同行については、感染状況を見ながら今後実施したいと考えています。
会社説明会は、2019年度採用から採用ホームページ上のウェブセミナーの動画を見てエントリーシートを送ってもらう形式をとっています。エントリーシート提出後の総合職の選考は、書類選考、グループワーク選考、適性検査兼一次面接、二次面接、最終選考が役員面接ですが、2021年度採用ではグループワーク選考と、面接は一部オンラインで行いました。
一次面接は人事担当1名対学生2名で、人柄を知るとともにコミュニケーション能力を対話の中で見ます。二次面接は人事部長と学生1名の一対一で、当社とのマッチングを確認するため様々な角度から突っ込んだ質問をします。最終選考の役員面接は学生1名に対して社長、専務、人事部長の3名で行います。選考活動の時期には、参加人数を絞って詳細な内容の企業説明会と社員座談会を実施しますが、2021年度採用では社員座談会をオンラインで行いました。社員3名が、学生6名のグループを順番に回って質問に答える形式です。
なお2020年度採用(2021年4月入社)の総合職内定者は50名で、うち女性は5名でした。インターンシップが出会いの機会となり、内定につながった方もいます。
充実した若手社員向けの能力開発制度
内定後は、10月初めの内定式の前後に2泊3日の研修合宿を例年行ってきました。各本部の本部長と、中堅社員、若手社員、一般職社員、内定者が集まり、各部門の事業内容や具体的な業務などを詳しく説明します。この合宿を通じて内定者は仲間と親睦を深めます。今年以降も状況の許す限り開催したいと考えております。
入社後に総合職の社員は会社負担で語学研修を受けることができます。入社5年目以降の社員は海外駐在員選抜制度の対象となり、これまでタイ、ベトナム、マレーシアといった東南アジアに駐在しました。2019年4月からスタートした海外研修生制度では、入社6年目までの社員から選抜し、一年間海外現地で語学を集中的に学んだ後に営業スキルを習得します。
また人材力アップやキャリア意識の醸成、横のつながりの強化を目的に、社員が別部門への異動を希望できる社内FA制度、逆に求める人材を部門が募集する社内公募制度、会社がハイパフォーマーに新たな部門への異動を提示するチャレンジキャリア制度を実施しています。
そして、若手社員も含めた全グループ社員対象の「新事業提案制度」では幅広く新規ビジネスのアイデアを募っていて、実際に新事業も開花しています。350年にわたり常に新しいビジネスを創出してきた伝統がここにも息づいています。
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