人事部発「学生たちに告ぐ!」

2021年03月1日

稲畑産業
人事室 人財開発部
下根迅人さん
(1)

商社は学生のどこを見て、何を感じて内定を出すのか――。
その疑問に答えるべく、日本を代表する商社の人事部採用担当者にご登場いただき、最近の学生像や求める人材について語ってもらった。

 

コロナ禍でも最善を尽くした「会う採用」のポリシー

「できるだけ多くの学生さんと会う」―。これが長年変わらない当社の採用活動のポリシーです。

エントリーシートの選考を設けてはいますが、一人でも多くの学生に一次面接を受けていただきたいと考え、筆記試験の前に「面接」を実施しています。一次面接通過後に筆記試験を受けてもらい、その後二次面接、最終面接へと進んでいきます。

そんな方針の当社にとって、2020年の採用は苦難と試行錯誤の連続でした。いうまでもなく日々刻々と変化するコロナ禍の影響で、対面で会うということがままならなかったからです。

社内では毎週「コロナ対策会議」が開かれ、全社の対応を協議していました。そこで週ごとにアップデートされるコロナ対策に基づいて、採用チームとして可能な限り対面で面接を行う道を模索するわけです。「このスケジュールなら予定通り面接を行ってもリスクを回避できるだろう」「2週間待ってもらうことで、状況の変化に期待できるかも知れない」―。日々そんな話し合いを重ねて、スケジュールの調整を繰り返していました。

とりわけ2020年のエントリー数は例年より多く、その上で一次面接の数を絞らなくてはいけないという困難な状況でした。特に神経を使ったのは、A日程の最終面接のタイミングです。ちょうど緊急事態宣言が明けるかどうかというタイミングだったため、2度延期をして政府の発表を待ちましたが、やはりリスクを考慮してオンライン面接に切り替えました。

一方で時期が異なるアシスタント職の最終面接、またB日程の二次面接〜最終面接は、延期を経て対面での面接を実施。コロナだからと一律に全てオンラインにせず、その時ごとの状況に応じて臨機応変に対応した結果、難しい状況下でもいい採用活動ができたと思っています。もちろん対面で面接を行う際は役員室にもアクリル板を張り巡らせるなど、細心の注意を払って行いました。

またオンライン面接といっても妥協せず、どうすれば対面と同じように学生さん一人ひとりとしっかり向き合うことができるのか、これも担当者間でかなり話し合いを重ねました。単純な話ですが一人あたりの時間を長くしたり、一回あたりの人数を減らしたり、というのはその一例です。従来の一次面接では学生さん3〜4人に対して面接官1人が通常ですが、これを学生さん2人に対して面接官1〜2人に改めました。また対面での最終面接は事前に控え室で人事担当者と自由に話をして緊張を和らげてもらうのですが、オンラインでもそのスペースを作って時間無制限で学生さんの疑問に答えたりと、思いつく限りの試行錯誤を重ねました。

 

型にはまらない面接で「素の部分」を見極める

当社の「会う採用」にこだわる社風は、私自身が就職活動を通じて強く感じた部分でもあります。というのも当社の面接では、志望動機に続いて自己PRを……といったような型にはまった流れで話を聞かれることはありませんでした。雑談のような飾り気のないざっくばらんなやり取りを通じて、私の素の部分を見ようとしてくれました。学生だった私はそんな面接に驚くと同時に、人に対する当社の姿勢が深く印象に残りました。

それは二次面接に続いて行われるリクルーター面談でも同じです。私を担当してくれた営業の社員は商社の仕事のしんどい部分を包み隠さず率直に伝えると同時に、自分でいろんなビジネスを手がけられる醍醐味、楽しさについても、生き生きと自分の言葉で話してくれました。また当社のことだけでなく、商社業界全体についても、その人個人の目線で親身な助言をたくさんくれたんです。

採用を通じて出会った自分に、きちんと親身になって寄り添ってくれる―。この社風が、私にとって入社に至った大きな決め手になりました。こんなスタンスで採用を行ってきた当社だからこそ、今回のコロナ禍においても対面で直接会うということに最大限注力してきました。

その一方で、当社も採用活動におけるウェブの利便性に改めて気づかされたのも事実です。地方、あるいは海外の学生さんとじっくり話ができた、というのはその典型例。実際にこれまで採用例のなかった地方の有力大学の学生さんたちにも、選考に参加してもらうことができました。また2020年の採用活動には間に合いませんでしたが、海外駐在員とのリクルーター面談も、検討していく予定です。すでに新入社員研修では駐在員と直接やりとりをする場を試験的に設けており、採用活動でも学生さんの理解を深められる良い機会になるのではないかと思います。

⇒その

 


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